2011 Fiscal Year Annual Research Report
ファイバヒューズ現象を用いた新規光加工基盤技術および安全基準の確立に向けた研究
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22560335
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山田 誠 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10508401)
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Keywords | 光ファイバヒューズ / 光散乱特性 / 光検出 / インターロック |
Research Abstract |
光ファイバヒューズ(FF)が発生すると、光ファイバのみならずそれに接続する機器を破壊して、使用不可能となる。このため、FFの発生を的確に検知し、光ファイバに接続する機器を破壊する前に確実に停止する方法が必要不可欠である。これまで、FFが発生しているときに観測される特有の戻り光を検知して、FFを引き起こす光源の出力を停止する方法が提案されていた。しかし本方法では、誤動作を起こす可能性が高いこと、検出装置が高価と等の課題を有しており、実用的なFF検知・停止装置では無かった。このため、平成23年度は、確実に光ファイバヒューズの発生を検出し、的確に停止できる新規のFF検知・停止装置を提案し、その動作を確認した。以下に提案した検知・停止装置の構成と動作確認結果を記載する。 [装置概要]:本装置は、光ファイバの側面にFF発生時にレーザ光源に向かって進む特有の発光(可視光) をモニタすることで光ファイバヒューズの発生を的確に検出する。そのため、光ファイバの側面にSi系PDを配置する。FFの停止は、Si系PDの出力をラッチング機能付き判別回路に入力し、その判別結果により、FFを引き起こしているレーザ光源のインターロックを制御することで確実に停止する。 [動作確認結果]:本装置を用いてFFを検出後、16.7 msec後にレーザ光源出力を確実に停止できることが確認できた。FFの伝搬速度は~0.5m/secであり、本検討では検出してから9.35mmでFFを確実に停止できることも会わせて確認できた。なお、停止速度は、インターロック制御で使ったリレーの応答速度に起因しており、高速応答特性を有するリレー回路を利用することで一層の高速化が可能である。 今後、FFの伝搬時に観測される発光の基本特性を解明して本装置の高性能化を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画ではFF検知・停止装置に関しての予定が無かった。しかし、FF伝搬時の発光特性等の基本特性評価を進める過程で得られた知見から、新規で且つ実用的な同装置の提案と動作確認ができた。また、本装置系に関しての特許手続きを完了(本研究・平成22年度科学研究費補助金実績報告書の成果として報告済)しており、産業的にも大きな寄与を与えたものと考える。 また、FF検知・停止装置の研究を進める過程で行ったFFの光散乱特性評価法を用いることで、これまでに報告されていない、FF発生時の光散乱放射パターンを評価可能であることを新たに見出した。本評価法を用いることで、FFにおいて大きな課題である「安全性(特に網膜に対する安全性)」を検討する上で重要な基本特性となると考える。平成24年度はFF発生時の光散乱放射パターンに関して重点をおいて研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
FFの安全面における検討に関しては、平成22年度科学研究費補助金実績報告書で一部報告したが、残された課題は、FF伝搬時の安全性の検討である。また、本報告で記載した検知・停止装置に対しては本装置を設計するため、従来報告されていなかった、FF伝搬時に観測される発光の基本特性解明を世界で初めて明らかにする必要がある。 平成24年度は、FF発生時の光散乱放射パターンを世界に先駆けて明らかとすると共に、同結果を用いてFF検知・停止装置の設計指針の明確化と装置完成度の向上を図る。
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