2012 Fiscal Year Annual Research Report
光誘起電流変調を利用した多値化信号生成素子を創成するSiGeヘテロ接合特性の評価
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22560339
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤永 清久 北海道工業大学, 創生工学部, 教授 (40285515)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 結晶成長 / 先端機能デバイス / 半導体物性 / 電子デバイス・機器 / シミュレーション |
Research Abstract |
光励起多値信号生成素子にはSiGe多重量子井戸を埋め込みチャネルに用いた電界効果素子を使用するので、その特性を実験及びシミュレーションにより検討を進めた。 1.SOI基板を用いた電界効果素子のゲート酸化膜の直下に次の仕様の3重量子井戸を形成した。すなわち、Siキャップ層(0.5nm)、SiGe量子井戸層(1nm)、Siバリヤ層(1nm)、SiGe量子井戸層(2.5nm)、Siバリヤ層(1.5nm)、SiGe量子井戸層(2.5nm)、SOI層(40nm)である。SiGe層のGeの組成比は20%に固定した。標準試料として、Siキャップ層(0.5nm)、SiGe量子井戸層(6nm)、SOI層(40nm)の単一量子井戸の電界効果素子を用いた。その結果、多重量子井戸構造にすることによって素子が高速になることが判明し、当初の予測を検証することができ、素子形成技術の精度を把握することができた。 2.シミュレーションにより、素子にゲート電圧を負荷し励起電子が存在する状態で、Siバリヤ層厚と3重量子井戸の基底準位の関係を調べた。これより層厚が厚くなるほど準位は高くなり、3量子井戸層に電子を捕獲する効率が悪くなることが分かった。その結果、実用的には1-2nmのSiバリヤ層厚が適切であるとの知見を得た。今後はSiバリヤ層厚に加えSiGe層厚やGe組成比をパラメータとしてシミュレーションを続行し、素子の能動部の構造を検討することが必要と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光励起多値信号生成素子の開発を目的として開始した研究において、順調に進展している項目は、SiGe多重量子井戸の結晶品質の改善に関する項目とSiGe多重量子井戸を能動部に用いた電界効果素子の特性評価に関する項目であり、光誘起電流を効率的に電圧に変換することができる目途が付きつつある。一方、遅れている研究項目は受光部の検討で、光量と誘起電流との関連をシミュレーションで予測するに止まっているが、総合的にはおおむね順調に研究は進展しているものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
光励起多値信号生成素子に大きな影響を与える、SOI基板の埋め込み酸化膜近傍のSiGe/SOI界面の特性について調査し、改善策の検討を行うとともに当素子構造の設計に着手する。 1.従来の研究より埋め込み酸化膜界面から20nm以上離れたSOIでは、その界面で発生した結晶欠陥の影響を受けないが、当素子構造では光励起電流のチャネルとなるSiGe層を可能な限り埋め込み酸化膜に近付けることが必要になるので、結晶欠陥による光誘起電流損失特性を正確に把握しておかなければならない。そのため、埋め込み酸化膜界面の直上に種々のチャネル構造のSiGe層を形成し、このバックゲート特性を調べて、光誘起電流の損失を極力低減できる構造を決定する。 2.受光部での光誘起電流を増幅し電極に導く素子構造として、埋め込み酸化膜をゲート酸化膜とし、SiGe多重量子井戸を埋め込みチャネルとした電界効果素子を利用するが、ここでは電流収集能力を上げるため、種々のGe組成比と層厚をパラメータとした多重量子井戸構造についてシミュレーションを行い、素子構造設計の基礎資料を収集する。
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