2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560345
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 愼一 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00556243)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | メタマテリアル / 左手系 / 共振器 / Q値 / 群速度 |
Research Abstract |
今年度はメタマテリアル(MM)線路を導入することでスタブ共振器の小型化と周波数可変化を実現するための方策を検討した。マイクロ波回路シミュレータを用いて共振器特性を調べる過程で、2つの減衰極に挟まれた鋭い共振特性を示す周波数領域があり、しかもその共振周波数における挿入損失が極めて小さいことを見出した。この現象を詳細に調べた結果、MM線路の導入により負次数の共振モードが狭い周波数範囲で多数出現し、ある共振モードが前後の反共振モードに挟まれることで共振が鋭くなることがわかった。これは、左手系の電磁波伝送モードが支配的な周波数領域で分散の勾配が小さくなることに起因しており、この現象を利用すれば、λ/4に近いの2本の開放スタブを用いて2個の減衰極を配置する従来のスタブ共振器の動作を、1本のスタブで模擬できることを意味する。しかも、負次数共振が得られる領域は遅波特性を示すため、1本のスタブもλ/4より遥かに短くなる。更に判明したことは、MM線路をなすインダクタ(L)の値を調整することで2個の減衰極を(従って負荷Qを)自由に制御できることである。挿入損失法により無負荷Qを評価したところ、MM線路の導入前の約2倍に向上しており、これが挿入損失の低さに繋がることも明らかとなった。無負荷Q向上の直接的原因は、MM線路の負次数領域における群速度が約1/2になるためである。以上より、負次数の共振モードを利用することで、従来のスタブ共振器のサイズを1/3以下に小型化した上で、Q値および挿入損失を大幅に改善できることが実証できた。今回、周波数可変化の実験実証には至らなかったが、L値により負荷Qの制御が可能であることが示され、MM線路部のC、Lを可変にすることで周波数可変化も原理的に可能であることを確認した。本共振器はMMICへの展開が容易であり、発振器回路など応用実証へ経て早期の実用化が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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