2011 Fiscal Year Annual Research Report
LDPC行列を用いたSlepian-Wolf符号化システムの実現と性能評価
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22560362
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
植松 友彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60168656)
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Keywords | 情報理論 / LDPC符号 / 情報源符号化 |
Research Abstract |
実用的な符号の構成のために理論面について研究を行い、本年度は以下の成果を挙げた。 1.符号長に伴う線形時間での符号化・復号の可能性の追求 最新の通信路符号化における幾つかの成果がSlepian-Wolf符号化にも応用できないかについて検討を行った。その結果、相関を有する2つの情報源が二元対称通信路を通じて結びつけられている場合、Schonbergらによる符号構成法を用いれば、通信路符号化法における復号法がそのまま適用できることが明らかになった。特に、LDPC行列を用いた通信路符号化では線形時間で最尤復号に迫る復号が行えることが知られており、この成果がSlepian-Wolf符号化システムに対しても直接利用できることが分った。また、符号化を線形時間で行う手法についても、LDPC行列を用いた通信路符号に対する成果が応用できることを確認した。 2.一つのLDPC行列であらゆる符号化率に対応できるような符号の構成 通信路用の線形符号を一つ用意し、その符号の生成行列を2つの符号器に分け与えることで、符号化レートの和が一定という条件下で達成可能領域における任意の点を実現する符号化法がSchonbergらによって既に提案されている。この成果は、一様分布に従う2つの二元情報源の相関が二元対称通信路で与えられるときにのみ、その理論的な最適性が示される。そこで、この成果を非一様な分布に従う二元情報源に対する拡張について検討し、符号長を長くしたときに任意に小さい誤り率を達成するために符号化レート対が満足すべき条件を明らかにすると共に、その誤り指数を調べ、符号化レート対によっては、従来知られていた線形符号の誤り指数よりも大きくなることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、研究計画に記載した課題の中、「符号長に伴う線形時間での符号化・復号の可能性の追求」ならびに「一つのLDPC行列であらゆる符号化率に対応できるような符号の構成」については、十分な研究が行えたが、「記憶を有する情報源に対する符号化法」について当研究方針は立っているものの、詳細な部分までの検討が行えておらず、研究成果が得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に遂行できなかった課題の「記憶を有する情報源に対する符号化法」については、すみやかに遂行すると共に、今後は、これまでの研究結果に基づいて、LDPC行列を用いた具体的な符号の構成法を検討し、提案する符号の性能評価をコンピュータシミュレーションによって行う。様々な条件のもとでの性能評価を行うことで、LDPC行列を用いた符号の利点と欠点を明確にし、実用的なSlepian-Wolfシステムの構築の際の指針を明らかにする。
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Research Products
(1 results)