2011 Fiscal Year Annual Research Report
凸最適化手法に基づくLDPC符号の復号法とその応用
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22560370
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田山 正 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20275374)
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Keywords | 凸最適化 / 符号理論 / LDPC符号 / 情報理論 |
Research Abstract |
申請者は、近年、凸最適化問題における連続最適化手法に基づくLDPC(Low-Density Pahty-Check;低密度検査)符号の復号法を提案している。また、その応用としてCDMA方式におけるマルチユーザ検出アルゴリズム、2次元シンボル間干渉通信路に適した等化アルゴリズムの開発を行っている。本計画研究の主たる目的は、内点法やニュートン法といった連続最適化手法を通信系のアルゴリズムに適用するときに生じる諸問題について深い理解を得ること、そして、その理解に立脚して最適化の見地から新しい復号・信号検出アルゴリズムの開発することである。平成23年度には、本プロジェクトの成果である2次計画法に基づくCDMAマルチユーザ検出方式の論文が電子情報通信学会論文誌に掲載された。研究面では、線形計画法に基づく置換符号の復号アルゴリズムの開発、そのLP復号法に適した符号クラスの探索、有歪圧縮への応用などを検討した。また、線形計画法により復号可能な置換符号に関しての論文を執筆し、現在、同論文をIEEE Transactions on Information Theoryに投稿済である。現在は、新しい方向性として、コセット符号化問題に関しての最適化アプローチの可能性を検討している。さらにシミュレーテッドアニーリングの考え方に基づくLDPC符号のビットフリップ復号アルゴリズムの基礎的な検討も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画にあったCDMAのマルチユーザ検出アルゴリズムへの2次計画法の応用については、論文としてまとまり、十分な成果が得られたものと考えている。一方、当初計画ではそれほど重視していなかった最適化に基づく置換符号の復号法に関する研究が非常に進展しており、23年度ではその辺りに注力してきた。24年度はふたたび当初の自的であるLDPC符号と最適化の関わりの問題に焦点をあてる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では、当初目的に従い、最適化の観点から、LDPC符号や置換符号などの符号の復号問題を主に取り扱ってきている。特に初年度に開発した内点復号法は、優れた復号特性を示すことが実験的に明らかとなっているが、やはり最適化プロセスにおいて2次の微分(ヘッセ行列)が必要であるため、計算量的に重いという点が否めない。符号の復号問題では、目的関数値の精度は、それほど必要とはならないため、「精度が悪くとも、高速な」アルゴリズムが場合によっては望ましい。1次の微分情報(勾配ベクトル)のみに基づく復号法の開発は、復号計算の高速化の観点から、重要であり、今年度では、その可能性についても考えていきたい。,
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