2011 Fiscal Year Annual Research Report
OFDM時間軸信号の周期性を利用したPAPR特性改善方式に関する研究
Project/Area Number |
22560372
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小林 英雄 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60303749)
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Keywords | OFDM / PAPR / PTS / 無線通信 / マルチパスフェージング / 非線形増幅器 / 非線形歪み |
Research Abstract |
本研究では、OFDM時間軸信号の有するPAPR問題を簡易な演算処理で解決するPAPR低減方式を提案することを目的としている。今年度は、(1)時間遅延を用いたPAPR低減方式の所要演算処理量の定量的検討、(2)受信側で自律的に送信側で与えた各クラスターの遅延量の検出法、(3)非線形回線下とマルチパスフェージング環境下における提案方式のエンドーエンドでの特性評価を重点課題として検討を行った。 今年度に実施した(1)(2)は、提案方式を実際に利用する際に必要となる検討課題であり、(3)は提案方式の有効性を評価する際に必要となる検討課題となる。(1)については、従来方式と提案方式の所要演算処理量について定量的に評価できる手法について明らかにし、提案方式は従来方式と同程度の演算量でPAPR特性を1.5dB程度改善可能であることを明らかにした。(2)については、制御情報なしに受信側で自律的に遅延量を検出する方式を提案し、計算機シミュレーションで提案方式の有効性を実証した。ここで提案した方式は、移動通信環境下で伝送路特性推定用に利用されるパイロット信号を活用するものであり、候補となる遅延量に相当する周波数-位相特性を受信側で乗算し、パイロット信号を最大比合成した結果を用いて遅延量を検出することを特徴としている。(3)については、これまでに提案した方式に対して、非線形増幅器とマルチパスフェージング回線を想定した計算機シミュレーションを実施し、提案方式は線形回線下の誤り率特性と同等の特性が達成可能であることを実証した。 一方、(2)で提案した方式を従来方式のPTS方式に適用した場合についても検討し、計算機シミュレーション結果より、受信側で各クラスターの位相制御量を自律的に検出可能であることを実証した。また、PAPR特性の改善が可能となるSC-OFDM方式の時間軸信号を用いた伝送路特性推定法についても提案し、計算機シミュレーションより有効性を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的に対しては、ほぼ計画通りに進展しており、本研究課題から派生して新規のPAPR特性改善方式の検討を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に対しては、平成24年度の最終年度中において十分達成できる見込みである。更に、最終年度には本プロジェクトでの研究目的と合致した新規のPAPR軽減方式の提案と特性評価についても合わせて実施する計画である。
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