2011 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワークコーディングを用いたマルチホップ無線通信のモデル化とデータ配信法
Project/Area Number |
22560396
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 裕 新潟工科大学, 工学部, 教授 (60227288)
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Keywords | ネットワーク / LAN |
Research Abstract |
本研究は,緊急時や災害時の通信として有望視されている,マルチホップ無線通信環境におけるデータの配信,収集のアルゴリズムを開発することを目的とし,そのため近年研究が進んでいるネットワークコーディングと呼ばれる技術を取り入れてモデル化し,データの配信アルゴリズムを開発するものである. 昨年度は,マルチホップ無線ネットワークの抽象的なモデルを作成した.ごく単純なモデルとして,グラフ理論における辺彩色問題に帰着できることが知られているが,このモデル化では,チャネル間の干渉が十分表現できない.そこでチャネル間干渉を考慮に入れた彩色問題をモデルとして提案した.当該年度では、この彩色問題における,単純な構造に関する理論的な成果を国際会議にて発表した.その後,このモデルを用いた,マルチホップ無線環境におけるデータの配信,収集のアルゴリズムを開発している.ここまでは,2つの端末間にチャネルを割当てるだけであったが,いくつもの端末を経由して通信するためには,スケジューリングが重要となり,ここにネットワークコーディングと呼ばれる技術を取り入れ,円滑にデータをやり取りすることになる.当該年度では,単純なモデルを用いて,コンピュータシミュレーションにより,開発した発見的手法によるアルゴリズムの有効性を検証した.チャネルの干渉を考慮に入れたモデルにおいては,ネットワークコーディングは有効な手法であることがシミュレーションにより確認された.また,これまでのモデル化は必ずしも十分なものではなく,より一般化した形でのモデル化の必要性がわかってきた.今後,アルゴリズムに改良を加えるとともに,より現実に近い形でのモデル化を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル化に関してやや時間がかかったため,アルゴリズムを開発し,コンピュータシミュレーションによる評価に関してやや遅れている.当該年度で,分散的なアルゴリズム開発の緒に就く予定であったが,これからとなっている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発したアルゴリズムは中央で制御することを想定している.データ配信の効率化の限界をさぐるには適切だが,今後携帯端末が自律的に振る舞う現実に近い形にアルゴリズムを改良する.また並行して,これまでのモデル化の一般化を検討する.分散的なアルゴリズムに関しては,携帯端末の性質上,各端末が協調した制御は単純なものとし,複雑化しないものとする.また,障害が起こった場合の制御も研究計画に入れているが,ネットワークコーディングに関する部分に特化して研究を進める予定である.
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Research Products
(3 results)