2011 Fiscal Year Annual Research Report
複数アンテナ送受信による電波伝搬特性変動を用いた電波信号秘匿方式
Project/Area Number |
22560397
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
笹岡 秀一 同志社大学, 理工学部, 教授 (70309194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 誠人 同志社大学, 理工学部, 教授 (70411064)
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Keywords | 無線セキュリティ / 通信秘匿 / 無線ステガノグラフィ / 電波伝搬 |
Research Abstract |
無線通信は、電波の傍受による盗聴の危険性があるためその対策が重要であるが、最近、電波伝搬特性に基づく秘密鍵共有方式など電波を用いた情報セキュリティ技術が注目されている。また、電波伝搬特性を活用した情報セキュリティの新技術として、秘匿情報を伝送する電波信号を別の電波信号で覆い隠し、正規の受信者以外にその存在自体を検出不可能とする通信秘匿技術の初期検討が行われているが、その伝送効率と安全性が十分でない。そこで、電波信号の秘匿技術と複数アンテナによる送受信技術を組合せた新方式(「複数アンテナ送受信による電波伝搬特性変動を用いた電波信号秘匿方式」)を提案し、その有効性を計算機シミュレーションにより確認することを研究目的としている。 平成23年度は、平成22年度に提案し初期検討を行った二つの新方式((1)MIMOシステムにおける電波信号秘匿、(2)秘密分散伝送における電波信号秘匿)について、電波伝搬特性の詳細な模擬も含めて忠実な計算機シミュレーションを実施し、実環境を想定した特性評価を行った。また、安全性に関する初期検討を行った。その結果、実環境を想定した電波伝搬環境下において、正規ユーザ以外の第三者からの攻撃に対する安全性に課題があることが明らかとなった。この成果は、今年度に実施する予定の課題の解決法の検討と改良方式の提案に反映される貴重な知見である。なお、研究成果の公表については、誌上論文への投稿した結果が採録決定となっている(掲載は平成24年7月)。また、平成23年度の研究成果を今後、研究会などで多数発表する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね計画通りに進めてきたが、実環境を想定した電波伝搬環境において検討している方式の特性に課題があることが分かった。そのため、その対策の検討に時間がかかった。このため、研究成果の学会発表などが計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に研究成果の発表が少なかった点については、今年度早々(平成24年7月)に掲載される論文がある。また、平成23年度の研究成果の研究会などでの発表に積極的に取組む予定である。それと並行して、平成24年度の研究計画を加速し、年度内の研究成果の発表に心がける。
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