2011 Fiscal Year Annual Research Report
一般化スプラインによる極近距離インパルス通信システム
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22560401
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鎌田 賢 茨城大学, 工学部, 教授 (70204609)
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Keywords | スプライン / インパルス通信 / UWB / 動的システム |
Research Abstract |
本研究の目的は、線形動的システム理論に基づく一般化スプライン関数として生成されるパルス波形による極近距離高速ディジタル無線通信システムを構築することである。パルス波形の生成は、挟帯域フィルタを階段状波形で駆動することによって簡単に生成できる。高速化を図るために、パルス波形が重なっていても互いに直交するように階段状波形が設計されている。極近距離で対向するアンテナ対が2階微分特性を有するならば、送信パルスと同じテンプレートパルスを用いるだけで受信パルスを検出できるという利点もある。平成22年度までの理論的研究で、システム全体の構成法とパルス波形が存在するための必要十分条件は明らかになっている。1秒間に60億個のパルスを伝送できるパルス波形の設計例も得られていた。この理論の前提となっている2階微分特性を有するアンテナ対の製作が課題であった。 平成23年度の研究では、単純な微分系の特性をもっと期待される微小ループアンテナを設計した。電磁界シミュレーションの結果は、このアンテナを送受信に用いたときに、設計例のパルス波形が主にエネルギーを持っている3GHz~12GHzの範囲では2階微分特性を有することが示された。アンテナを製作して時間特性を実測したが、アンテナと駆動回路のインピーダンス整合が不十分であったため、反射波が生じてしまい、所望の特性を確認できなかった。 平成24年度には、アンテナと駆動回路のインピーダンス整合を改善して、再び特性計測を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度の実験では、市販の広帯域アンテナが本研究にとって都合のよい特性をもっていないことが明らかになった。平成23年度の研究で、独自のアンテナを設計し、シミュレーションでは所望の特性をもつことを確認できた。実測では、インピーダンス整合が不十分であったため、所望の特性を確認できなかったが、これを平成24年度に解決する。
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Strategy for Future Research Activity |
アンテナと駆動回路とのインピーダンス整合を改善し、実測で所望の特性を確認する。これによって、最大伝送速度6Gbpsを達成できるパルス通信方式の基盤技術が確立される。
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