2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度圧電高分子トランスデューサを用いた空中超音波による物質内部の画像形成
Project/Area Number |
22560410
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 貞幸 山形大学, 地域教育文化学院, 技術専門職員 (10396559)
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Keywords | 圧電高分子 / P(VDF/TrFE) / 超音波トランスデューサ / MHz帯域 / 透過画像形成 |
Research Abstract |
本年度は、P(VDF/TrFE)(75/25mol%)を用いて、昨年度に引き続き接着剤によるロスのない超高感度の空中超音波トランスデューサの開発を行った。また新たに(平成23年度)は、対象物の透過画像形成に着手した。本年度は以下の項目に重点をおいた。 1. 2~3MHzのP(VDF/TrFE)圧電膜が接合されたレゾネータ開発技術を確立する。(昨年度までに、一部の膜にみられた圧電膜の剥離を調査する。) 2. 上項1. でのポーリング時に起こる、絶縁破壊の原因を調査し、圧電膜(レゾネータ)の開発を効率よく行う。 3.上項1および2項で得られたトランスデューサを用いて対象物の透過画像形成を行う。 4.積層圧電膜の開発に着手する。 研究成果について(項目番号は上項1~4に対応) 1). 2.5MHz用(厚み約250μm程度)のP(VDF/TrFE)圧電膜と金属基板とで、剥離を起こさないレゾネータの開発技術を確立した(ほぼ100%で製作が可能)。開発したトランスデューサの効率は約60dBであるが、マッチング回路を付随させることで58dBまで上昇した。 2). 上項目1)の成功により、絶縁破壊が極度に減少し、また専用のポーリング装置を開発した。 3). 平面型トランスデューサを用いてLSIの透過画像に成功した(分解能はまだ低い)。 4). 2枚のP(VDF/TrFE)積層型レゾネータの試作を行い、効率は低いが、それぞれの圧電現象を確認した。 引き続き、高効率トランスデューサの開発を行い、トランスデューサの直径を小さくすることにより、透過画像の分解能上昇を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において開始した、接着ロスのないP(VDF/TrFE)トランスデューサの開発により、本年度は、MHz帯域で動作し、尚かつ、対象物質(LSI厚み4.1mm)の透過画像形成に成功した。単層(250μm程度)トランスデューサであるが、効率は60dBであり、目標の50dB台に到達しつつある。 厚みのある圧電膜の分極処理については、安全性を考慮した専用の高電圧(±24kV)装置を製作し、電圧・電流曲線からおおよその分極値が判明している。本年度より積層圧電膜の開発にも着手し、まだ効率は低いが、ポーリングをすることが可能であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(最終年度)は、以下の項目(1~4)について重点的に行う。 1). 単層(2.5MHz/250μm)P(VDF/TrFE)空中超音波トランスデューサの性能を50dB台に到達させる。 2). 上項1)で開発したトランスデューサの開口径をφ8mm程度まで小さくし、LSIの透過画像を形成する。 3). 積層型P(VDF/TrFE)トランスデューサを開発し、その評価を行う。 4). 凹面型トランスデューサを製作し透過画像を形成する。
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