2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560412
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
若槻 尚斗 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40294433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 孝一 筑波大学, システム情報系, 教授 (50241790)
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Keywords | 可視化 / アレイ / 時間反転波 |
Research Abstract |
本年度は高速に可視化を行うため、まず波動伝搬の数値シミュレーションを高速化に関する検討および実験の準備を行った。また、関連研究として超音波探触子アレイを用いる鉄ビレット内部の可視化法の検討を行った。 ・可視化アルゴリズムの開発 時間反転波の計算は波動伝搬を時間領域で計算することから、時間領域有限差分法(FD-TD法)や伝達線路行列法(TLM法)のような数値解法が有効である。この種の計算手法は並列化による計算速度向上の効率が良いことが知られていることから、ここではマルチCPU(マルチコアを含む)、およびGPGPU(General Purpose Graphic Processing Unit)を用いる並列計算の使用を試みる。本年度は並列計算機のハードウェアを含む開発環境のセットアップと、有限差分法における並列計算による高速化のための予備実験を行った。また差分法における斜めの境界による計算誤差の検討も行った。 ・検証実験のための実験装置製作 時間反転波を用いる可視化法にはトランスデューサのアレイが必要となる。ここではマイクロホンとアンプの製作を行いアレイ化の準備を行った。はじめは10chのチャネル数から実験を開始し、最終的には100chオーダのアレイとする予定である。 ・鉄ビレット内部の可視化法の検討 鉄ビレットの非破壊検査には超音波が一般的に利用されるが、多くは内部欠陥からの反射波を観測する反射法に基づくものである。しかしながら、鉄ビレットは内部での音波減衰が大きいことと、欠陥からの反射波が小さいことから反射法を適用できる深さには限度があり、100~200mm角オーダサイズのビレットに適用するのが難しい。そこで、研究代表者らは従来より透過超音波の伝搬時間を用いる断層映像法を提唱している。ここでは、従来用いていたパルス波ではなく連続波の位相情報を用いて可視化が可能かどうかを検討し、定性的ではあるものの可視化が可能であるという結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究自体はほぼ順調に進展しており、現在のところ計算の高速化を主に行っている。計算が十分に高速化されれば、今後予定している3次元の解析にスムーズに移行することが可能である。本年度の研究内容は次のステップへの準備の意味合いが強く、本年度の実施内容そのものに高い学術的な価値があるとは必ずしも言えないため、学術論文や国際会議の件数が少なくなっている。しかしながら、次年度にその成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度着手した並列計算による高速化および実験準備を踏まえ、今後はマイクロホンアレイを実際に用いて、空間および物体内部の可視化実験を予定している。また十分な高速化が出来れば3次元問題への発展が期待できる。ここで、3次元空間の周りを囲むためには膨大な数のトランスデューサが必要となり現実的でないため、できるだけ少数のトランスデューサを使用しながら、時間反転波の特徴を活かし、周囲の境界による反射波を利用することによるトランスデューサ数の削減を検討する。
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