2010 Fiscal Year Annual Research Report
腹部組織音速の超音波トモグラフィ映像に基づいた内臓脂肪検査法
Project/Area Number |
22560414
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山田 晃 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20159213)
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Keywords | 超音波トモグラフィ / 医用超音波画像診断 / 内臓脂肪症(メタボリック症)診断 / 音波伝搬時間測定 / 生体組織音速分布の映像化 / 計算機画像再構成 / 人体腹部断面の可視化 / 生体弾性物理量の非侵襲計測 |
Research Abstract |
本研究では、腹部体表周囲上の透過型超音波伝搬時間測定に基づいた腹部断面音速トモグラフィ映像装置の実現とその内臓脂肪検査への応用を目的した検討を行った。研究開始年度にあたる本年度は、これまで課題申請者が継続的に行ってきた研究成果を踏まえて、医用現場で使用可能な実用段階の装置を実現する際に問題となる、(1)体表密着型高速回転走査機構によるデータ取得、(2)内臓皮下領域境界の抽出処理、の二課題について検討を進めた。まず、前者(1)の検討では、腹部を囲む円周周囲上に、体表密着型対向送受信器対を配置した、音波送受信システムを構築した。ここでは、減衰の少ない100kHz帯の低周波領域において、高分解能かつ高感度に送受信可能なアクティブ探触子を用いた。円周上32等分点を結ぶ直線上の体表密着位置に、対向間隔を数種類に変えた送受信器対を移動させた、約128の経路上で伝搬時間データを収集した。そのために、直径470mmの固定リングの円周に沿って移動する回転リング上に、バネ押さえガイドレール構造の送受信器ユニットを装着する構造とした。これにより、位置決め精度と音響結合性(探触子と人体の接触性)を維持した状態での高速回転データ収集を可能にした。同時に、これまでの円周上走査に比べて、体表上の最短の経路間で音波を送受信することで回折の影響を回避しやすくなり再現性能向上につなげた。次に、後者(2)の検討では、腹部音速映像の低音速脂肪領域から皮下領域と内臓領域の各々を分離するための、内臓皮下領域境界抽出処理ソフトウェアを作成し、評価試験によってその有効性を確認した。今後は、本装置に電動機構を組み入れることにより、音波送受信測定から内臓脂肪領域抽出に至るまでを数分の時間内で自動検査可能な装置の完成を目指していく。
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