2011 Fiscal Year Annual Research Report
回転バルクハウゼン信号による非破壊材質評価システムの構築
Project/Area Number |
22560423
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
槌田 雄二 大分大学, 工学部, 助教 (80284785)
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Keywords | 計測工学 / バルクハウゼン記号 / 材質評価 / 非破壊システム |
Research Abstract |
本研究は、これまで組織観察等からしか評価できなかった鉄鋼材の材質変化を、電磁気センサを用いることによって、非破壊的に評価可能となる材質評価システムを構築することを目的とする。具体的には、磁気的信号であるバルクハウゼン信号(特に、研究代表者らが考案した「回転バルクハウゼン信号」)を中心として、これまで研究代表者らが研究成果を挙げてきた電磁気センサを複合的に用い、ミクロスコピックな評価が不可欠であった材質変化の評価を、非破壊的な計測システムにて実現する。研究代表者らは、電磁鋼板を対象として回転バルクハウゼン信号測定システムの開発を行ってきた。同システムによって、電磁鋼板の回転バルクハウゼン信号の基礎的な挙動を明らかにした。本測定システムをベースとして機械構造部材の材質評価システムを製作する。 本年度は、(1)昨年度、完成した非破壊材質評価システムにおける計測結果と組織評価との相関、(2)昨年度、完成した非破壊材質評価システムにおける計測結果と機械強度特性との相関、の2項目の検討を実施した。初年度の測定データを材質評価へと結び付けていくのが本年度の目的である。そのために、金属顕微鏡を用いた組織評価と、引張試験による機械強度特性評価と初年度測定データとの相関を明らかにした。製作した非破壊材質評価システムの磁気信号結果が機械特性とどのような関係になっているのかを検証するため、同一材料で機械強度特性が異なる23個の試験片を準備し、機械強度と、非破壊材質評価システムにおける磁気信号計測結果の内、保磁力Hcと磁気損失Wmが強い相関があることを明らかにした。また、金属顕微鏡で組織観察を実施し、準備した試験片の組織は、材料強度によって異なり、その組織変化が非破壊材質評価システムで捉えられていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに進んでいるため。同一材料で機械強度特性が異なる23個の試験片を準備でき、機械強度と非破壊材質評価システムにおける計測結果(保磁力Hcと磁気損失Wm)が強い相関があること、またそれを組織観察からも検証し終えたことは、計画以上の成果であるとも言える。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに研究を進めていく。最終年度は、(1)非破壊材質評価システムの検証と改良、(2)非破壊材質評価システムによる材質評価データベースの構築、2項目を予定している。より実用化に近い非破壊材質評価システムへと発展させる計画である。
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