2010 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素削減に向けての高分解能偏波合成開口レーダによる森林情報計測手法の開発
Project/Area Number |
22560436
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
大内 和夫 防衛大学校, 電気情報学群, 教授 (10289259)
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Keywords | 計測システム / 森林情報 / 合成開口レーダ / 統計解析 / 二酸化炭素削減 |
Research Abstract |
本年度の主な研究成果は2点ある。第1の成果は、これまでに収集した航空機搭載高分解能合成開口レーダPi-SARのL-バンドデータと現地計測した苫小牧森林のバイオマスデータを使って非ガウス統計に従う画像強度のテクスチャを利用した新しいバイオマス計測アルゴリズム「モーメントモデル」を開発したことである。このアルゴリズムは、画像強度に最も良くフィットする確率密度関数を必要とせず、非ガウス統計に従う画像であればバイオマス計測が可能というロバストな方法となっている。また、計測精度も約85%と以前に開発した確率密度関数をベースとした手法とほとんど同じである。さらに、本手法による計測可能なバイオマス上限は約80~90トン/ヘクタールで、従来の画像強度と実測バイオマスの相関関係を利用した手法の上限(L-バンドで約40~60トン/ヘクタール)を上回っている。第2の成果は、2004年9月に台風18号によって被害を受けた苫小牧森林の倒木領域をPi-SARのL-バンド画像強度と偏波散乱パワー分解解析を使って抽出したことである。台風前後の画像強度の違いから被害領域を抽出する前者の方法の計測精度は約64%で、後者の偏波情報を利用した方法では約78%の精度が得られた。後者の方法では、後方散乱プロセスを表面散乱と2回反射、多重(体積)およびヘリックス散乱に分解することから、画像強度を利用する手法と比べて計測精度が高いと考えられる。計測精度の算出には、苫小牧森林局による目視で林班ごとの被害マップを真の被害状況として参照した。しかし、2010年11月から12月かけて苫小牧森林の現地調査を行ったところ、被害状況は被害マップと異なることが判明した。そこで、2009年9月に撮影されたGeoEye-1衛星搭載マルチスペクトルデータを購入し、現地計測データとともに次年度の研究のためのより詳細な被害マップを作成した。
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