2011 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素削減に向けての高分解能偏波合成開口レーダによる森林情報計測手法の開発
Project/Area Number |
22560436
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
大内 和夫 防衛大学校, 電気情報学群, 教授 (10289259)
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Keywords | 計測システム / 森林情報 / 合成開口レーダ / 統計解析 / 二酸化炭素削減 |
Research Abstract |
航空機搭載合成開ロレーダPi-SARのX-バンドデータを使ったレーダ干渉技術による苫小牧森林の台風による倒木領域の計測と現地調査による検証データ作成を実施した。従来、X-バンドデータはL-バンドデータと此べて森林計測には実用的ではないとされてきた。しかし、本研究では、ベースラインの短いシングルパス干渉SAR技術を使うことでX-バンドでも森林の樹冠の高度を計測することが可能であることを示した。実験では、2004年9月の台風前と後の干渉SARデータから算出した森林のDSM(Digital Surface Model)の差分から倒木領域を抽出し、現地計測データと比較した。森林局が作成した誤差の大きい被害地図では十分な評価ができないため、GeoEye-1衛星搭載高分解能マルチスペクトル画像と現地調査によってより詳細な台風被害地図を作成し参照データとした。結果として、干渉SARによる倒木被害領域の抽出は前年度に実施したL-バンドデータを使った偏波散乱パワー分解解析には劣るものの、干渉データ処理アルゴリズムを改善する事で計測精度が向上することと考えられる。また、2002年5月のIKONOS衛星と2004年9月台風直後のQuickBird衛星、さらに2009年9月のGeoEye-1衛星によるマルチスペクトルデータを比較することで、レーダでは得られない樹種や季節変化、倒木領域が計測できることから、光学データとレーダデータの融合から単一種類のデータから得られないより詳細な新情報が抽出可能である。平成23年度に、データ融合による高精度での森林情報抽出の研究を開始し、得られた初期結果から手法の有効性を確認した。データ融合技術に関する研究は、干渉SARデータ処理アルゴリズムの改善とともに次年度のテーマとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
L-バンド合成開口レーダ画像強度のモーメントから森林バイオマスを計測する新アルゴリズムを開発・精度検証し、偏波データの散乱パワー分解解析による台風被害領域を計測するアルゴリズムを開発するなど、研究はおおむね順調に進んでいる。一方、ALOS-PALSARの運用が2011年5月に終了したため、中国の森林サイトでの観測と同時に実施予定であった現地調査ができなくなったことが想定外の結果となった。今後は、対象領域を苫小牧森林に集中し、X-バンド干渉SARの処理アルゴリズムの改良と、マルチスペクトル光学データとレーダデータとの融合技術の開発を行い、計測精度を現地調査で得られた参照データと比較することで、計測精度の検証を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
予期していなかったALOS-PALSARの運用終了にともなう中国の森林データが得られなくなったため、今後は、対象領域を苫小牧森林に集中し、X-バンド干渉SARの処理アルゴリズムの改良と、マルチスペクトル光学データとレーダデータとの融合技術の開発を行い、計測精度を現地調査で得られた参照データと比較することで、計測精度の検証を実施する。本研究で開発したモーメントモデルによる森林バイオマス計測結果と台風被害によるバイオマス減少とを比較し、本プロジェクトの総合的な評価を行う予定である。
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