2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560439
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津村 幸治 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80241941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 英宏 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50451802)
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Keywords | フィードバック制御 / 量子力学 / 量子フィルタ / 量子光学系 / 連続測定 |
Research Abstract |
本研究では応用範囲が広いとされる量子光学系に焦点をあて,量子版現代制御理論の有効性を確かめる具体的な量子フィードバックシステムの設計と実現を目的とする.制御理論と量子光学の分野の研究者から研究組織を構成し,量子フィルタ理論および量子フィードバック制御理論を基礎とし,推定限界,制御性能限界等の様々な現代制御理論の結果を,世界に先駆け量子力学系において検証することを目指す.本研究の主目的を達成するためには,次の点が明らかにされなければならない.課題(1) 連続測定を可能とする量子光学系のクラスの特定と観測システムの設計,課題(2) フィードバック制御が可能である量子光学系のクラスの特定と制御部の設計,課題(3) 制御理論の諸問題を検証するために要求される実験機の性能・仕様の割り出し,課題(4) 実験および検証 平成22年度においては,課題(3), (4)に相当する実機による実現性を確認することを先に実施すべきとの考えに至り,対象は量子光学系ではあるが,その古典的物理量の最適推定器を導出し,その有効性を数値シミュレーションおよび実機実験により確認した.本年度はこれを踏まえ,主として量子フィードバック系の課題(1), (2)を理論的に明らかにすることを目的とし,しかる後,量子フィードバック系における課題(3), (4)の解決を図った.具体的には特異な量子状態を生成・保持する可能性の高い量子光学系の特定と,それに対する測定および制御の基本的方策について理論的考察と数値実験により議論を進めた.未だ完全な確証は得られていないが,その可能性についての部分的な知見が得られた.しかしながら課題(2)-(4)の完全な解決や実機による実験は未解決となっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では量子制御理論の有効性を確かめる具体的な量子光学系の設計と実現を目的としており,全研究計画の当初予定の最終年度である平成24年度末において課題(4)実験および検証の解決を目指していた.しかし現時点では課題(2)-(4)の部分的な解決に留まっており,理論面・数値実験による完全な解決,および実機による実験・検証が今後の課題として残っている.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは課題(2)の理論面・数値実験による完全な解決を目指す.具体的には目下注目している量子フィードバック系の動特性の理論的考察により,特異な量子状態が生成されることの完全な証明と,数値実験による検証を実施する.そのためには量子ノイズの適切な数学的取扱いの究明と,無限次元系である量子状態の時間発展を,計算機を用いて近似計算する手法の開発を目指す.これらの解決と並行し,課題(3)-(4)の解決のため,実機実験の仕様と準備を検討する.
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