2011 Fiscal Year Annual Research Report
分布定数系に対するデータ駆動型集中定数正準制御器の設計とその性能解析
Project/Area Number |
22560442
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
金子 修 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (00314394)
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Keywords | データ駆動 / 正準制御器 / むだ時間 / 性能解析 / FRIT |
Research Abstract |
本研究では,データを直接用いることにより,分布定数系に対して与えられた仕様を達成するような集中定数正準制御器の設計理論の構築およびその性能解析に関する研究に取り組んでいる. 分布定数系の一つのクラスとしてむだ時間系をとりあげて平成22年度から引き続き研究をしている.また,分布定数系を制御する際に,たとえばセンサとアクチュエータの配置の様子で逆応答を示すことがあるが,その逆応答をもたらす原因となる不安定零点をもつシステムに対しても,平成22年度にひき続き研究している.本年度は,昨年度の各々に対する結果をさらに深く考究し,制御性能をより向上させる方法を検討した.さらに,むだ時間と不安定零点を,統一的に扱えるような制御器のデータ駆動型パラメータ調整法も提案した.なお,この融合の成果は,査読付き国際会議IEEE MSCにて発表している.これらの成果は,分布定数系の中では限定された対象でもあり,空間的な分布には関係していないが,むだ時間は分布定数のサブクラスであるという点,集中容量系で分布定数系を制御すると逆応答を呈するという現象は本研究課題に深く関わる問題の一つであり,学術的および実用的に重要な意義がある. さらに,簡単な分布定数系の例として,一次元熱伝導問題をとりあげ,そのクラスの分布定数系に対するデータ駆動型制御器パラメータチューニング法の開発にも取り組み始めた.これは引き続き検討していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22~23年度分での進捗状況は,むだ時間,および,分布定数系の制御で現れる逆応答などに代表される不安定零点のデータ駆動型制御による取り扱いについてある程度の見解を得ることができた.ただ,そのことに研究が集中したことがやや遅れていることの理由ではないかと考えている.また,1次元熱伝導問題についてもデータ駆動型制御の有効性をシミュレーションにより検証し始めたが,そのシミュレーションプログラムの作成に予想外に時間がかかったことも理由と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,平成23年度に行った1次元熱伝動方程式に関する結果を学会等で発表する予定である.また,さまざまな分布定数の対象についても,検討していく. そして,その後は当初の方針にしたがい,データ駆動型正準制御器の理論的解析や,分布定数系を実際の集中定数系で制御する際の具体的方法などの検討を行う.
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