Research Abstract |
本研究では,制御対象変動や未知外乱など,制御性能に悪影響を与える要因を高精度で推定し,さらにその結果を制御に反映することにより,制御性能の高性能化を実現することを目的としている.そのため,以下の研究課題の解決を計画している. (A)FDIフィルタ設計理論に基づく未知外乱推定手法の構築 (B)制御系の部分的要素における変動量の動的推定手法の構築 (C)未知外乱/制御要素の部分的変動の高精度推定に基づく制御手法の確立 上記のうち,(A)に関しては,FDIフィルタの設計にも応用されている,SMO(Sliding Mode Observer)に基づく未知外乱手法の構築に取り組み,連続時間ベース,離散時間ベースの設計方法の構築に成功した.さらに,種々め機械系に応用した結果,従来の手法である外乱オブザーバ等に比較して高精度な推定が可能であることを明らかにした.その結果は,IFACのシンポジウム,および計測自動制御学会において研究発表済みである.さらに,IFAC World Congress 2011に論文採択されたほか,計測自動制御学会論文誌に投稿予定である.一方,(C)に関しては,実用的な適応制御理論の手法として広く知られているSAC(Simple Adaptive Control)に着目し,SACの応用による手法の確立を目指した.その結果,SACを機械振動系に適用した場合の問題点として,反共振周波数の変動が制御性能に悪影響を及ぼすことを見いだした.さらに,適応型ノッチフィルタを規範モデルに組み込むことで性能劣化を防ぐ方法を提案し,機械振動系実験装置への応用によってその有効性を検証した.その結果は,計測自動制御学会において研究発表を行ったほか,日本機械学会論文誌投稿を予定している.以上より,当初の目的に沿った成果が得られている.
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