2011 Fiscal Year Annual Research Report
アフィンな調整パラメータを有する非線形制御器のデータ駆動制御系設計論の構築
Project/Area Number |
22560447
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐伯 正美 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60144325)
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Keywords | PID制御 / ゲインスケジュールド制御 / データ駆動制御器 / 入出力応答データ / ループ整形 / 制御器設計 / パラメータ空間表示 |
Research Abstract |
本研究の目的は,数式モデルを作成することなく,過渡応答データを直接に用いて,非線形制御器を設計する方法を与えることにある.以下の点を明らかにした. 1)データ駆動設計法によるゲインスケジュールドPID制御器の構成 非線形系では動作点の変動により,各動作点周りでの動特性が動作点に依存して異なる.そこで,各動作点周りで得られた過渡応答データからPID制御器を設計し,それを線形補間することでゲインスケジュールド制御器を構成する方法をすでに与えていた.今回はこれをRBF(放射基底関数)を用いて滑らかに近似する方法を与え、数値実験により十分な近似が行えることを確認できた。今回の方法は区分的線形な関数を介して近似しているが、今後は過渡応答データを用いて直接にRBF関数で表された制御器を設計する問題を検討する。今回の成果はその準備のための研究である。 2)ボリュームデータを用いた反証領域の3Dパラメータ空間表示 PID制御器は3つのパラメータであるので、非反証条件を満たす集合を3D空間に表示することで、解集合の大域的な特長がつかめ、設計も行える。近年、計算機の並列計算やMRI画像の3D表示が容易に実行できる環境となり、新しい試みとしてパラメータ空間内に格子点を与え、各格子点でL2ゲインを計算することでボリュームデータを作成し、3D表示する方法を与えた。フィルタバンクを用いる方法とExtension定理を用いる方法を適用し、前者は計算量の点で十分に実用になることを数値実験で示した。今後、多くの問題をこの枠組みで扱うことができることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RBF関数による非線形制御器の設計では、現時点では解析の段階であり、RBF関数の重みを直接に設計する方法の検討が少し遅れている。その他の3D表示などは予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
非線形制御器にパラメータがアフィンに含まれる場合に今までは線形補間関数を近似するという、間接的な方法を検討してきた。今後はパラメータを過渡応答データにより直接に決定する問題を積極的に進める。また、3Dパラメータ空間表示は実用可能性が確認できたので、新しい設計法としての有用性も高いため、計算の高速化、安定条件など評価関数の拡張を進める。
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Research Products
(8 results)