| Research Abstract |
航空制御系の開発は,最初の概念的な発案から最後のシステム実現まで,解析,設計,シミュレーション,性能テスト,故障診断など多岐にわたる極めて複雑な過程であるため,膨大な労九コストと時間が必要とされる.いかにその開発を効率的なものにするかは重要な研究課題である.特に,制御系開発全体の効率を大きく左右するのは,その出発点となるモデリング問題である.高度や天候,積載量など多くの不確定要素を持つ航空機に最先端のロバスト制御技術を適用するには,その変動や不確かさをLFR(線形分数表現)で表現(モデリング)することが必要である
本研究は,多項式行列基本変換などの数式処理の手法を用いて,条件の変更や用途の違いに応じて複雑さが調整可能なLFRモデリングの新技法を考案し,航空制御系の開発効率を向上させる技術を開発することを目的としている.H22年度においては,多項式行列基本変換による数式処理の方法を用いて,符号係数変動パラメータと独立変数が混在している場合でも,それらを統一的に数式のままで処理できるLFR実現技法の構築を中心に研究を展開し,具体的に次の成果を得た.まず,1入出力多次元(nD)システムの伝達関数に対し,従来と全く異なる手法でLFR実現問題の行列基本変換問題への定式化を行った上,LFR実現が存在するための条件とその実現アルゴリズムを提案した.そして,多変数伝達関数行列の行列分解表現と行列基本変換との関係を解明することによって,多入出力の場合の行列基本変換によるLFR実現の定式化とその一般的な実現アルゴリズムを提案した.これらの結果によって,LFRを自動的に生成するプログラムの構築が可能となった.さらに,提案した実現法で得たLFR実現の次元(サイズ)を評価する方法とアルゴリズムを与え,それに基づきより低次元の実現を構築する技法を示した
|
