2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560455
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Research Institution | Tokyo University of Science, Suwa |
Principal Investigator |
相原 伸一 諏訪東京理科大学, システム工学部, 教授 (70202455)
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Keywords | システム工学 / 制御工学 / モデル化 / 電力デリバティブ / オプション価格 / 電力債権 |
Research Abstract |
欧米ではすでに余剰電力の物理的な売買が国をまたいで行われており、近年の電力自由化により、ノルドプール(Nord Pool)やAPX, Power nextのような電力取引所が開設され現在では証券取引所と同様に、債権化された電力の取引が活発に行われている。我が国も2003年に日本卸電力取引所(JPXE)が設立され、電気の直物(スポット)取引、先渡し(フォワード)取引が、電力会社や商社に仲介されている。本研究では電力デリバティブやそのオプションの数理モデルの構築とリスク評価の研究を実施する。これらの電力市場はエネルギー一般に、特にCO2取引を含んで拡張される傾向にあり、数理モデルの構築の手法の確立が急がれる。本年で得られた成果はこの電力債権の数理モデルを、コンボリューション粒子フィルターを利用することにより、観測される先物データより推定する方法を確立したことである。具体的には、APXの実データより、季節変動の関数のモデリングを行い、先物データを擬似的に構成し、コンボリューション粒子フィルターの推定精度を検証した。特に重要なマーケットリスク価格に関する項と係数の同定は、シミュレーションではあるが、高い信頼性を得ることができた。このことは今後のオプションの価格を逐次的に計算する手法の開発にこのフィルターが応用できることを示唆している。さらに電力取引のデータに特有に見られる現象である、ジャンプ現象の統計的解析を行い、このジャンプ過程をコンパウンドポアソン過程でモデリングするために、コンボリューション粒子フィルターをジャンプ過程が含まれる場合に拡張する理論の開発に着手しており、次年度にそのシミュレーション結果を国際学会で発表する。
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Research Products
(2 results)