2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560455
|
Research Institution | Tokyo University of Science, Suwa |
Principal Investigator |
相原 伸一 諏訪東京理科大学, システム工学部, 教授 (70202455)
|
Keywords | システム工学 / 制御工学 / モデル化 / 電力デリバティブ / オプション価格 / 電力債権 |
Research Abstract |
本研究では電力デリバティブやそのオプションの数理モデルの構築とリスク評価の研究を実施している。本年で得られた成果は、昨年得られた電力債権の数理モデルをより実用的なモデルに改良するために、"リスクの市場価値"の新たなモデリングと、現実に得られた電力先物データより、逐次にその値を推定する手法の開発を行った。具体的には、まず"リスクの市場価値"が先物取引において市場の心理的雰囲気により、不規則に変動することを考慮し、この項を確率過程でモデリングすることにした。この項は、従来は同定の複雑さより定数として処理されてきたが、市場が発展し複雑になるに従い、先物の不規則変動のフィードバックを受け変動するという統計的解析結果が報告されている。本研究では先物の期間構造モデルに含まれるノイズと同様な性質を有するノイズを用いて、この"リスクの市場価値"のモデルを構成した。このようなモデリングを行うと、電力デリバティブやそのオプションの価格を計算するにあたって逐次変動するその値を把握する必要に迫られるが、この値は実際に市場から得られるものではなく、先物取引のイールドデータより推定する以外に方法はない。そこで本研究ではカルマンフィルターを使用した推定方法を提案した。推定に使用する観測データはイールドデータに加えて、取引される先物債権のデータを考慮して、推定の精度を向上する工夫を凝らしている。さらに提案したフィルターを構成するには、新たに構築されたモデルの係数の値が必要になるが、この係数も同時に同定する適用フィルターを、粒子フィルターを用いて構成する手法も提案した。これらの理論的な結果は、多くの数値実験を行いその有用性の検証を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電力先物価格においても、マーケットプライスオブリスク(リスクの市場価値)を確率過程でモデリングする必要性が分かり、その推定手法の開発に新たな時間がとられたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進課題としては、主に以下の2点を考慮する。 1)昨年度のモデルに、ジャンプ過程を加えることにより、より電力債権のモデルに適したモデルの構築と、適用フィルターの構成を行う・ 2)一部の成果は、国際会議で発表済みであるが、考察モデルのさらなる拡張として、確率的ボラティリティーを考慮したモデリングを行う。
|