2011 Fiscal Year Annual Research Report
実構造物の電気化学的物性値と三次元数値解析の連携による電気防食の設計体系の構築
Project/Area Number |
22560459
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
皆川 浩 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10431537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久田 真 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80238295)
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Keywords | 維持管理工学 / 国土保全 / コンクリート / 電気防食 / 電気抵抗率 / 分極抵抗 |
Research Abstract |
本研究では塩害対策工法として高い需要をほこる電気防食工法を対象とし,より合理的かつ定量的な設計体系の構築を目標として,その設計支援ツールの開発を研究目的としている.具体的には,ラプラス方程式を構成則とするFEMによる数値解析手法と実構造物から得られる点検情報をリンクさせた,より実践的な設計支援ツールである.これまでにもFEMによる電気防食工法の補修効果を定量化手法に関する研究は存在したが,その境界条件や内部条件となる鋼材や陽極の分極抵抗ならびにコンクリートの比抵抗といった電気化学的諸量の実測データとリンクさせた検討は皆無であった. そこで本研究では,(1)簡易な点検方法として目視点検に着目し,目視により得られた鋼材腐食状況から数値解析に用いる電気化学的諸量を決定するためのデータベースの構築,(2)より高度かつ信頼性の高い電気化学的諸量を得るための現地構造物に適用可能な非破壊試験法の開発,を主要な今年度の研究目的とした. (1)については平成22年度および平成23年度に得られた352点もの電気化学的諸量に関する実験データを配合,温度,湿度,鋼材の腐食程度をパラメータとするデータベースを構築することができた.また,(2)については,測定対象鋼材に流入する電流および鋼材の分極量の分布の実測値からFEMにより鋼材の分極抵抗を定量化する方法を開発するに至り,そめ実効性を実験室レベルの供試体で確認することができた.そして,(1),(2)を境界条件とする数値解析方法のスキームを提示することで,設計支援ツールのプロトタイプを提案することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実構造物に適用可能な電気化学的諸量,特に鋼材の分極抵抗を非破壊にて測定する手法に関して,当初想定していた手法の問題点を大きく改善したものを構築できた.また,これまでに蓄積した実験データをデータベース化し,現的ではあるが,実務での使用に耐えうる設計支援ツールのプロトタイプを提案することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で提案した防食設計支援ツールは実験室レベルの供試体に対して有効であることが確認された.今後は,実環境や実部材レベルの供試体を用い,検証を進める必要がある.この点に関しては,民間企業の協力を仰ぎ,実寸大の供試体を作製して検証実験を進める予定である.また,構造物の曝されている状態は構造物によって千差万別であるため,構造物中の含水状態の影響や塩分の影響など,本研究で範囲外となっている幅広い要因について実験データを蓄積させることで,さらなるデータベースの拡充,および分極抵抗決定方法の精度を向上させ,本ツールの汎用性を向上させる必要がある.この点に関しては電気防食工法を維持管理に取り入れている構造物管理者の協力を仰ぎ,実構造物でのデータ採取をお願いする予定でいる.また,東日本大震災の影響で,当初の目標はおおむね達成したものの,実験棟の使用が制限されて実験の進捗が大幅にずれ込んだため,成果の取りまとめと対外発表が遅れている.この点に関しては平成24年度において精力的に取り組む予定である.
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Research Products
(3 results)