2010 Fiscal Year Annual Research Report
Ca/Si比の異なるC-S-Hの炭酸化モデル構築に関する研究
Project/Area Number |
22560464
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石田 剛朗 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (60420501)
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Keywords | コンクリート / 炭酸化 / C-S-H |
Research Abstract |
本年度は,C-S-Hの炭酸化実験を行った。C-S-Hについては,試薬を用いた合成物を用い,合成C-S-HのCa/Si比は0.7,1.1,1.4とした。Ca/Si比0.7および1.4は,合成後に不純物が残存しない,下限および上限のCa/Si比である。炭酸化の方法としては,試薬(NaOH)により作製した模擬細孔溶液(初期pHは13.2)80mlに粉末状のC-S-H1.0gを加えたものを試料とし,これを炭酸化試験槽内に曝露した。CO2ガス濃度は0.05,0.5,5.0vol.%とし,雰囲気の温度は25℃,相対湿度は水の蒸発を防ぐ目的で約99%とした。所定の曝露期間が経過した後,吸引ろ過を行い試料を溶液と残渣とに分離した。溶液についてはpHメーターによりpHを,フレーム原子吸光光度計により溶液中のCa濃度とSi濃度を測定した。残渣についてはTG-DTAにより炭酸カルシウム量を定量し,また,サリチル酸メタノールへの溶分をC-S-H量とみなし,処理前後の質量差を測定することでこれを求めた。 溶液中のCa濃度とSi濃度の測定結果より,Caは溶液中にはほとんど存在しないこと,Siは一部溶液中に存在するものの,大部分は固相にシリカゲルとして存在している可能性が高いことが分かった。また,残渣の分析結果より,サリチル酸メタノールに溶解しない,低Ca型のC-S-Hが炭酸化により生成していることが分かった。低Ca型のC-S-H,および高Ca型のC-S-Hはともに環境のCO2ガス濃度が低いほど多く残存していた。炭酸化後もC-S-Hが残存する現象は,他の水和物と比べ特徴的であり,シリカゲルによる分解の妨げが原因として考えられるが,これに関しては,さらに詳細な検討が必要である。
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