2011 Fiscal Year Annual Research Report
体積変化に伴うひび割れ予測技術の高精度化に関する研究
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22560466
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
溝渕 利明 法政大学, デザイン工学部, 教授 (60339504)
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Keywords | コンクリート / ひび割れ / マス養生 / 熱膨張係数 / 力学特性 / 変形特性 / 断熱温度上昇特性 / 若材齢 |
Research Abstract |
コンクリート構造物の体積変化に伴うひび割れに関する問題は,今なお数多く報告されている。一方,ひび割れ予測解析に関してはここ20年余で飛躍的に向上している。しかしながら,解析技術の進歩の割には,その入力値たる設計用値は充実しているとは言い難いのが現状である。 本研究は,コンクリート構造物の体積変化に伴うひび割れの予測技術の向上を目指し,現場で簡便にコンクリートの物性を評価するシステムを開発するとともに,温度応力を室内でシミュレーションできるシステムの開発及び実構造物に則した温度応力挙動を模した縮尺模型によるひび割れ評価システムの開発を行うことを目的としたものである。 本年度は,実構造物の温度応力挙動を室内でシミュレーション可能な試験装置(TSTMと称する)を用いて,若材齢時でのコンクリートの収縮挙動の研究に用いて,実構造物で計測したデータと比較検討を行った。具体的には,計測した実構造物と同様の配合を用いて実験を行い,この装置で評価可能なコンクリートの熱膨張係数,ヤング係数,コンクリートに生じたひずみを求め,実構造物での計測結果との比較検討を行った。検討対象とした現場は,2箇所であったが,いずれの現場もひび割れ発生にまでは至らず,TSTMと若干異なる結果となった。次年度は,この原因について究明していくとともに,より実際に近い挙動を再現するための改善を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に,実験棟の移設があり,TSTMも移設を行ったが,機器自体の調整に手間取り,当初予定していた実験を全て実施することができなかった。また,移設に伴う機器の不調もあり,いくつかの実験のやり直しも行った点から,当初計画に対してやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
機器の再調整も終了しており,次年度は本年度できなかった実験を精力的に進めるとともに,当初計画していた模型実験も併せて実施していく予定である。 具体的には,簡易評価試験を実施する予定の現場を2箇所以上増やすこと,現場計測結果を基にTSTMによるひび割れ評価検討を実施する。また,実際の構造物の縮尺模型を製作し,部材内にTSTMでの温度制御用の温冷水を通水させる伸縮可能なパイプを埋め込み,コンクリート表面部には,断熱効果の高いウレタン樹脂で覆い,実構造物と同等の温度履歴を与えて,ひび割れ発生時期,発生箇所,ひび割れ幅の計測(貫通したひび割れのみとなる)を行う。ひび割れ幅については,縮尺の影響をどのように考慮していくかについて,これまでひび割れ幅やその進展が報告されている実構造物を縮尺模型で作製して,比較検討を行っていく予定である。 次年度は,最終年度にあたることから,上記の検討も含めた成果をとりまとめる。
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Research Products
(4 results)