2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロピオン酸カルシウムによるアルカリ骨材反応の抑制に関する研究
Project/Area Number |
22560468
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩月 栄治 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (10278228)
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Keywords | コンクリート / アルカリ骨材反応 / 抑制手法 / プロピオン酸カルシウム |
Research Abstract |
本研究の目的はコンクリートの劣化現象であるアルカリ骨材反応に対して、(1)骨材岩種の違いによるプロピオン酸カルシウムの抑制効果の把握、(2)コンクリートによる抑制効果の把握、(3)屋外暴露環境でのプロピオン酸カルシウムの抑制効果の把握、の3点である。 その中で23年度の計画は、(1)22年度に作製した屋外暴露大型供試体の測定の継続、(2)反応促進環境(40℃・湿度95%以上)のモルタルおよびコンクリート供試体の測定の継続、(3)プロピオン酸カルシウムがコンクリート強度性状に及ぼす影響の把握、(4)新たな反応性骨材を用いた供試体の作製および測定、である。 結果では、屋外暴露したφ300×600mmの大型コンクリート供試体の1年経過後は、プロピオン酸カルシウムを添加した供試体には変状はみられなかったが、添加しなかった供試体は黄褐色の変色や微細なひび割れが確認された。現時点で膨張率や超音波伝搬速度の変化はないが、外観の変状から供試体内部では反応が起こっていると考えられた。また、新たに反応性が高い堆積岩を用いて供試体を作製して測定を開始したが、現時点では変化は見られていなく、今後も測定を継続する。促進環境下(温度40℃・湿度95%以上)のφ100×200mmのコンクリート供試体ではプロピオン酸カルシウムによる膨張抑制効果が認められた。ただし骨材岩種の違い(堆積岩と火成岩)によって抑制効果に差が見られた。強度試験では、プロピオン酸カルシウムの添加・無添加による圧縮強度とヤング係数の関係には大きな差が見られず、本研究の範囲内ではプロピオン酸カルシウムによるセメント水和反応への影響は無いようであった。平成19年に作製したモルタル供試体の長期測定では、現時点でもプロピオン酸カルシウムによる抑制効果が継続しており、長期にわたって効果が継続することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンクリートの測定や試験は現時点では順調である。しかし屋外暴露をしているため今後の供試体の反応については不明な点が多い。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作製した供試体の測定を継続することによって、プロピオン酸カルシウムの抑制効果を確認し、さらに走査電子顕微鏡や偏光顕微鏡を用いた微細な観察とX線アナライザーによる分析を行い、プロピオン酸カルシウムの抑制メカニズムを検討する。
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Research Products
(6 results)