2011 Fiscal Year Annual Research Report
常時微動の一般化スペクトル密度比に基づくS波速度構造推定法の開発と応用
Project/Area Number |
22560478
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小嶋 啓介 福井大学, 工学研究科, 教授 (40205381)
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Keywords | 常時微動 / アレイ観測 / スペクトル密度 / S波速度構造 / 逆解析 / 福井平野 |
Research Abstract |
常時微動の3成分展開アレイ観測情報から算出される,多様な空間自己相関係数および一般化スペクトル密度比をターゲットとする新しいS波速度構造同定法を導出・検証する.本手法では,従来のRayeigh波位相速度をターゲットとする推定法に比較して,地下構造を反映した微動観測情報が余すところ無く活用され,表層から地下深部に至るS波速度構造を精度良く推定することが可能となる. 平成23度には下記の研究を実施した 1)常時微動の3成分観測から算出される一般化スペクトル密度比とH/Vスペクトルを同時にターゲットとするS波速度構造を直接推定する方法を定式化し,モデル地盤および実観測データに適用し妥当性を検証した. 2)福井平野および大野盆地を対象とし3成分アレイ観測を実施し,上記の手法を適用し,通常のRayleigh波位相速度からS波速度を算出する方法との比較を行い.実際問題への適用性を検討した.求められた観測点の地下構造をサンプルとする空間補間により福井平野および大野盆地の3次元S波速度構造モデルを求めた.福井県の地盤構造は不明な部分が多く地震被害予測の障害となっていたが,微動アレイ観測から地盤構造が明らかになったことで,その信頼性と精度を改善できる可能性がある. 3)福井地震断層および鯖江断層を対象とし,断層直交方に測線をとり,常時微動のアレイ観測および1点3成分観測を行い,上記手法を適用して地下構造の推定を行い,断層活動に伴う食い違い構造を指摘することができた. 4)福井大学文京キャンパスをテストサイトとし,浅層地盤を対象とする一般化スペクトル密度比をターゲットするS波速度構造推定法を適用し,構造物基礎地盤までの支持力および剛性の探査法としての適用性の検証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度に設定した研究の年次計画に沿って研究が実施できていると判断されるため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度には次の研究を実施する.1)常時微動のアレイ観測と1点3成分観測に基づいて推定されたS波速度構造モデルを用いて,福井県周辺に存在する断層活動に伴う,福井平野周辺の強震動分布のシミュレーション解析を行い,従来のモデルを用いた場合との比較検討を行い,2)上記の結果をHPに掲載し,住民の地震防災対策に活用して頂く,3)常時微動観測を用いたS波速度構造推定法を,構造物建設の際の地盤調査法として活用するため,その推定精度の検証を行うとともに,微動の専門的知識を必要としない調査法マニュアルおよびインターフェースを構築する.
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Research Products
(6 results)