2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸性環境における既設コンクリートの異常劣化に関する研究
Project/Area Number |
22560479
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松尾 栄治 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (10284267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 秀明 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50355963)
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Keywords | 硫酸劣化 / 炭酸劣化 |
Research Abstract |
平成22年度はコンクリートの劣化の現状把握を目的として,聞き取り調査→現地調査→サンプリング→分析という流れに基づいて研究を行った。具体的な現場としては,(1)沖縄県の大保ダム,福地ダム,安波ダム,およびこれらの導水路,(2)長崎県の本河内底部ダム,(3)山口県の桂ヶ谷貯水池堰堤,羽根越貯水池堰堤,(4)佐賀県の嘉瀬川ダム,(5)島根県の尾原ダム,志津見ダムなど調査した。可能なものについては直接コンクリートの試料を採取して成分分析を行った。また,環境調査としてボーリングコアから採取した成分についても分析を行った。分析方法は粉末X線回折,LV-SEMの2種類とした。特に硫酸成分の検出を目的としていたが,結果的には硫酸の存在を明らかにする成分は検出されなかった。コンクリートの硫酸劣化の過程は脆弱性を伴うことが多く,その場合は成分の残留が難しいことが予測されたため,さらに環境測定のための機材の充実を図った。すなわち,気体(酸素,可燃ガス,硫化水素,一酸化炭素),液体(濁度,pHなど),土壌のpH測定ができる環境を整備した。なお,聞き取り調査の結果から,地盤由来の硫酸酸性化現象について,山口県では古第三紀層があり,新第三紀層(いわゆる軟岩と呼ばれる泥岩)地盤に近い劣化が起きる可能性があることがわかった。すなわち,条件によっては一時的あるいは年間のある季節において地盤の酸性化が進行し,建物基礎に影響を及ぼすことが考えられることがわかった。そのため宇部市のハザードマップを作成することとした。また,硫酸劣化以外にも激しい劣化を伴う場合があること可能性が現場の観察結果より推定された。
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