2011 Fiscal Year Annual Research Report
腐食劣化した高力ボルト継手の耐久性能評価に関する研究
Project/Area Number |
22560483
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
下里 哲弘 琉球大学, 工学部, 准教授 (90452961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有住 康則 琉球大学, 工学部, 教授 (90109306)
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Keywords | 腐食 / 高力ボルト / 摩擦接合継手 / 残存軸力 / 軸力計測 / 腐食形状計測 / 引張耐力 / 疲労耐久性 |
Research Abstract |
本研究では、一般的に鋼橋の中でも腐食劣化が最も速く、その腐食劣化により橋の安全性が損なわれる危険性の高い摩擦接合型の高力ボルト継手部を対象に、腐食高力ボルト継手の耐久性能評価を目的としている。高力ボルトの腐食原因は、ボルトの形状自体にあり、角が多いボルト・ナットは塗装膜厚を確保しづらく、飛来塩分も付着しやすいため、局部的に激しい腐食劣化に至る。そのように腐食劣化した高力ボルトは軸力が低下し、継手耐力も低下するが、腐食劣化ボルトの本数によっては橋を不安定な状態にさせる恐れもある。 本年度は4つのステップで実験研究を進めた。ステップ1は軸力に最も影響を与えるナット部の腐食減厚に着目し、目視、直接計測法(ノギス、マイクロメータ)、間接計測法(レーザー計測法、型どり)により腐食劣化度の分類を行った。外観目視と肉厚計測の結果から、総数160本の腐食ボルトを用いて、減肉量小グループ13本、減肉量中Aグループ97本、減肉量中Bグループ16本、減肉量大グループ34本と4グループに分類した。ステップ2では腐食ボルトの振動特性に着目し、インパルスハンマーで打音した時の腐食ボルトの加速度を計測し、その周波数分析を行い、ステップ1の腐食劣化度との相関を分析した。なお、本法では予め軸力を制御したボルトの周波数分析を行った結果から、制御軸力と周波数の相関から残存軸力を推定する方法を検討した。ステップ3では4パターンの腐食劣化度から1体~2体の引張試験体を用いて、腐食ボルトの引張試験を行い、すべり耐力を求めた。また、摩擦面粗さ計測結果より、摩擦係数を推定し、その両データから腐食ボルトの残存軸力を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腐食高力ボルトの残存軸力を推定する方法として、腐食形状による分類を実施し、その分類に応じて、振動特性およびすべり耐力実験から、残存軸力を概ね推定できる手法が得られた。次年度はすべり耐力実験のデータを増やし、残存軸力推定法を提案する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、腐食劣化度分類と残存軸力との相関分析を目的に、すべり耐力実験のデータ数を増やし、残存軸力推定法を提案する。また、腐食高力ボルトの疲労耐久性の確認を目的とした疲労試験を行い、その疲労性状を明らかにするとともに、疲労試験とすべり耐力を組み合わせた実験も行い、腐食高力ボルトの耐力特性を総合的に評価する予定である。
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Research Products
(1 results)