2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代木橋の経年による構造性能の実態把握に基づく残存強度評価法の開発
Project/Area Number |
22560487
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
本田 秀行 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (00110990)
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Keywords | 木橋 / 健全度 / 維持管理 / 残存強度 / 耐用年数 / 構造解析 / 構造性能 |
Research Abstract |
平成23年度は、経年による近代木橋の構造性能変化の実態把握に基づく残存強度評価法を開発するために、近代木橋の健全度調査、動的実験や構造解析を行ない、経年による劣化個所の特定、構造性能の変化や強度低下および近代木橋の耐用年数の推定などを検討した。 1.矢ヶ崎大橋(長野県)、新川に架かる近代木橋6橋(東京都)、神の森大橋(愛媛県)、砂田切橋(埼玉県)、あいあい橋(:埼玉県)常盤橋(福岡県)、錦帯橋(山口県))の目視検査や維持管理調査を実施した。その結果、木材の腐朽や劣化個所の特定分類、および経年による腐朽部の劣化が橋全体の構造剛性に及ぼす影響が検討された。 2.架設後10年が経過している元気橋(近代木製下路アーチ橋:富山県)の健全度調査と動的実験を行った。目視検査、打音試験、超音波伝搬速度試験、含水率測定試験の結果とし致命的な損傷は認められなかったが、床板・高覧・地覆・下弦材・アーチリブの各部材で経年による木材の腐朽や劣化が部分的に顕著であることが明らかになった。また、動的実験で得られた「元気橋」の固有振動数と構造解析から逆推定の手法で把握すると、完成直後から10年間の経過によって、木材のヤング係数は15%程度低下していることが確認された。 3.近代木橋の耐用年数の算定式の検討した後、976木橋データから56近代木橋を対象に耐用年数の推定、数量化理論1類による算定式の項目に対する要因分析を行なった。その結果、近代木橋の耐用年数は耐久性に関係のある要因が大きく影響を及ぼすことが統計学的手法で明らかになった。 4.木製歩道橋の模型橋を製作し、腐朽部における振動波形の特性評価の動的実験を実施した結果、腐朽部での振動波形の乱れが確認されたので、平成24年度においても詳細な動的実験を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
わが国の木橋の架設実績データとして収集した976橋の内の56近代木橋を対象に、耐用年数の算定法、耐用年数の推定、数量化理論1類による要因分析を実施して耐用年数の推定問題に一応の成果が得られた。23年度に7木橋を視察して経年による木材の腐朽や劣化及びその箇所等の維持管理基準の開発に要する基礎データを収集した。さらに、元気橋(富山県)の健全度調査と動的試験を実施し、健全度評価や経年による木材の強度低下を定量的に評価する基礎データを収集できた。これら収集データの詳細な分析は平成24年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
先ず、平成22年度と平成23年度の研究目的で収集した基礎データや分析内容を整理・精査する。そして、それらの成果を平成24年の研究目的で実施する基礎データや研究内容に統合化する。最終的に、本研究課題である近代木橋の経年による構造性能の実態把握に基づいて残存強度の評価法と具体的な評価式を開発する研究を推進する。
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