Research Abstract |
平成22年度のRC柱に関する実験ならびに解析的研究の成果は以下の通りである. 【繰り返し力を受けるRC柱の破壊領域での主鉄筋座屈性状に関する研究】 本研究では,RC柱破壊領域での主鉄筋の座屈性状などを検証するため,「かぶりコンクリート」,「横拘束筋間隔」ならびに「載荷パターン」を要因とした載荷実験を行った.また,「横拘束筋間隔」および「初期不整」を要因とし,主鉄筋の座屈解析を行った.特に,ポストピーク領域における主鉄筋の座屈長ならびに座屈発生点と横拘束筋間隔との関係,さらには主鉄筋の初期不整(はらみだし量)との関係について実験的ならびに解析的な検討を行った. 【繰り返し曲げを受けるRC柱の鉄筋座屈特性に関する実験的ならびに解析的研究】 「横拘束筋間隔」および「かぶりコンクリート」の要因が,RC柱の主鉄筋の座屈発生・進展などの挙動に与える影響を実験データにより詳細に検討した.また,荷重-変位履歴曲線上の座屈発生点の特徴などを考察することにより,繰り返し力を受けるRC柱の鉄筋座屈の発生メカニズムを考察・検討した.これらの考察結果を基に,「横拘束筋間隔」および「繰り返し変形による主鉄筋の初期不整」を要因とした,軸圧縮力を受ける鉄筋のFEM解析を実施し,鉄筋の圧縮耐力低減率と実験挙動との関連について考察を行った.さらに,座屈挙動の解析結果を有限要素解析プログラムの構成モデルに採り入れて,繰り返し曲げ力を受けるRC柱のポストピーク領域における繰り返し挙動解析を実施し,かぶりコンクリートが剥離・主鉄筋が座屈した後の圧縮耐力低減特性のモデル化に関して,その妥当性を検証した. 【二方向繰返し力を受けるRC柱の載荷履歴が変形特性に及ぼす影響に関する研究】 本研究では,載荷履歴と横拘束筋間隔をパラメータとし,RC柱の二方向載荷実験を行い,これまで行ってきた一方向載荷実験結果と比較することにより,載荷履歴および横拘束筋間隔の違いが,軸方向筋の座屈性状やRC構造物の変形性能に及ぼす影響を考察した.さらに,同一の変位点へ到達する場合であっても,到達点に至る載荷経路の違いが軸方向筋の座屈挙動およびRC柱の破壊性状に及ぼす影響を考察した.
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