2011 Fiscal Year Annual Research Report
画像解析によるモードIIき裂の不安定成長の実験的検証と数値解析手法の確立
Project/Area Number |
22560489
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
沖中 知雄 近畿大学, 理工学部, 准教授 (90298985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 幸生 近畿大学, 理工学部, 教授 (50216933)
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Keywords | き裂不安定成長 / 超高速ビデオカメラ / 動的光弾性試験 / 圧縮き裂 |
Research Abstract |
本年度実施した研究内容は,一軸圧縮荷重下で成長を開始するき裂の不安定成長過程とき裂周辺部の応力場の画像計測である.本研究ではエポキシ樹脂を用いて50mm×50mm×10mmの矩形供試体を作成し,一軸圧縮試験を行った.矩形供試体中央部には初期き裂として圧縮方向に対して45度の角度をもつように,厚さ0.05mm,1mm,2mmのシリコンゴムを挿入している.き裂周辺の応力場は光弾性実験装置を用いて可視化され,き裂の成長状況とき裂の成長に伴う応力場の変化は毎秒100万枚撮影可能な超高速ビデオカメラを用いて画像計測される.超高速ビデオカメラの撮影タイミングとき裂の成長開始のタイミングは,本研究で開発された同期装置を用いて同期された.この同期装置は,供試体の初期き裂周辺に塗布された導電性塗料のき裂の成長による切断を検出し,超高速ビデオカメラに撮影停止信号を送出するよう設計されているこの実験装置により,一軸圧縮荷重下で不安定成長を開始するき裂の成長過程と成長き裂周辺部の応力場の画像計測に成功した.本年度の実験により,初期き裂の両端からき裂が同時に成長を開始することはなく,初期き裂の一端からき裂の成長が開始した後にもう一方の端部からき裂の成長が始まることが分かった.このき裂の成長開始の時間ずれは,き裂長さをせん断波が伝播する時間とほぼ一致しており,従って最初のき裂の成長に伴って解放されるせん断波が,もう一端からのき裂の成長を促していることが分かった.また,初期き裂の厚さによりき裂の成長方向が異なるが,これは供試体中の応力場が影響を与えていることが判明した. また,圧縮荷重下でのき裂の成長を再現するための数値解析手法について,文献調査を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的を達成するために不可欠な,き裂の不安定成長を実験的に検証するための実験手法の開発に成功している。また数値解析手法の文献調査にも着手しており,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降,本年度確立された実験手法を用いて様々な条件下での実験を積み重ねる予定である.同時に数値解析のプログラム作成とキャリブレーションを行う.数値計算のキャリブレーションには,実験により画像計測されたき裂周辺部の応力分布が使用できるため,精度の高い数値計算手法の確立が期待できる.
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