Research Abstract |
多孔体中の気液混相流に関する本研究では,代表的な流体に空気と水を用いた.この気液混相流では,水が潤す流体,空気が潤さない流体となり,排水と吸水が繰り返される過程で各流体の履歴により流れが左右される.そこで,まずガラスビーズ充填槽の境界水位を段階的に変えることにより,履歴が飽和・不飽和浸透流に及ぼす影響を調べる実験を行い,実験と同一条件で履歴を考慮した飽和・不飽和浸透流の数値解析を行って流速ベクトルや流跡線を計算し,履歴の影響を定量的に評価した. 以上の研究成果を踏まえ,小型テンシオメーターを用いた供試体内サクションおよび間隙空気圧測定装置を作製するとともに,小型カラム(φ50mm×厚20mm)を用いてサクションと間隙空気圧を同時に測定する基礎実験を行なった.まず,特殊ポーラスカップ(超小型の直径3.0mm,長さ3.0mmのセラミック製マイクロカップ)および直径3.2mmのステンレス管を作製して小型テンシオメーター製作し,脱気水で満たした管路に圧力変換器を接続してセンサーのキャリブレーションを行った.また,センサーと試料接触部に疎水膜を用いて数10kPaの水圧力でも水が浸入せず,長時間使用可能な間隙空気圧用センサーを作製し,センサーのキャリブレーションを行った.以上の結果,小型テンシオメーターおよび間隙空気圧計とも高い精度で測定できることが確認できた. ついで,直径0.1mm,0.4mmおよび1.0mmのガラスビーズと豊浦標準砂を小型カラムに充填し,上述のサクションおよび間隙空気圧測定装置を用い,様々な空気圧で試料内の間隙空気圧・サクション・排水量を連続測定し,各試料の排水および吸水過程時の保水特性を調べ,土壌水分特性曲線を求めた.以上の研究により,混相流のメカニズムを室内実験で明らかにするために準備が終了したので,次年度は大型カラムを用いてカラム内の気体の圧力および水分が経時的変化を明らかにし,数値解析に必要なデータを収集する.
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