2011 Fiscal Year Annual Research Report
降雨と地震の複合作用に対する盛土安定性能評価のための基礎的研究
Project/Area Number |
22560497
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Research Institution | Ashikaga Institute of Technology |
Principal Investigator |
西村 友良 足利工業大学, 工学部, 教授 (00237736)
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Keywords | 不飽和土 / サクション / 加圧膜法 / 水分特性曲線 / 繰返し三軸試験 |
Research Abstract |
平成23年度の研究計画に従い主に土の保水性試験と不飽和土の非排気・非排水状態の繰返し三軸試験である。水分特性曲線測定に関してセラミックフィルターを使用する加圧板法との比較検証を詳細に行い、加圧膜法による測定結果が加圧板法よりも精度が高い点を明白にした。とりまとめた内容がASTMに掲載された。また加圧膜法では制御マトリックサクション範囲が20kPaであるので、20kPa以上のサクションに対しては加圧板法で測定した。シルト質土と稲城砂の乾燥密度が保水性に与える影響を検討した。乾燥密度は最大乾燥密度の80%以上とした。乾燥密度が高いほど水分特性曲線に空気侵入値に相当する変曲点を評価することは困難であった。特に実験条件で最も高い乾燥密度(シルト質土:1.49g/cm^3、稲城砂:1.55g/cm^3)の場合、サクションOkPaから20kPaの範囲において水分特性曲線が緩やかな直線として表わされた。一方、乾燥密度が小さい境界値として予備圧密圧力3kPaのシルト質土に対して、土の保水性試験を行い、乾燥密度1.49g/cm^3の水分特性曲線と比較することで、シルト質土の水分特性曲線の範囲を求めた。これによって不飽和土の有効応力評価へのパラメータ設定の精度が向上する。 不飽和土の非排気・非排水状態の繰返し三軸試験ではシルト質土、稲城砂を対象に行った。手順は締固めた試料を(1)通水により膜を通じて見かけ飽和させ、(2)加圧膜法でサクション20kPa載荷、(3)再び、膜を通じて見かけ飽和。(1)から(3)における条件での繰返し三軸試験(基底応力100kPa、載荷周波数1Hz、載荷繰返し振幅0.24)を行った。同一セル内で連続的に(1)から(3)の飽和化、不飽和化を実現し、測定結果を示した報告は研究代表者が知る限りでは見当たらない。この成果は加圧膜法の詳細な検討にある。(1)の飽和状態ではDA6.3%で有効応力がゼロに至るが、(2)の不飽和状態では過剰間隙水圧の発生によりサクションがゼロに至るが大変形を生じなかった。しかし、再び飽和するとDA7.8%で有効応力がゼロに至った。あやはり不飽和状態の土構造物の降雨浸透後の地震による強度特性にはサクション消失が大きく寄与している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度研究計画は不飽和土の非排気・非排水状態の繰返し三軸試験にあった。載荷周波数は1HZ、載荷繰返し振幅0.24の1条件であったが、飽和化→不飽抽化→再飽物化のサクション変化を考慮した繰返し強度特性を明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究で得られたサクション載荷履歴の影響をさらに深く検討するために試験ケース追加したい。特に、再飽和時のサクション消失に伴うコラプス量に注目したい。
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