2011 Fiscal Year Annual Research Report
流速に着目した浸透破壊規準とその天然堰止めダムへの応用
Project/Area Number |
22560499
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
梅村 順 日本大学, 工学部, 講師 (70256816)
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Keywords | 地盤工学 / 土砂災害 / 浸透破壊 / 天然堰止めダム |
Research Abstract |
本申請課題では、土の浸透破壊現象について、主として (1)流速および動水勾配に着目したそれぞれの評価規準を評価するための試験装置を作成し、それらを用いた評価手法を提案する。 (2)そして、それら評価規準の関係を土の物理的性質と関連づけて、それらの適用条件を明らかにする。 (3)それら規準を天然ダムの現場での事例に適用を試みるための模型実験を実施し、適用性の可否と問題点を整理する。 の3点を目的に進めている。昨年度は、以下のような成果を得た。 1)浸透破壊や土粒子の運搬に係る文献について、地質学の分野にまで範囲を広げて調査、収集した。その結果、地盤工学分野の研究には水圧のつり合いを考慮する力学系がみられるが、地質学、水理学の分野での研究は、概ね土粒子と流体力のつり合いを考慮する力学系であった。また、ほぼ全てが、静力学に置換した系を取り扱っており、時間次元を取り入れたものはなかった。そこで、土が浸透流から受ける力を、静水圧と動水圧に配分されると考える概念を導入し、その方法の提案を行った。 2)前年度作成した限界流速測定装置を用いて、いくつかの試料を対象とした、1)で述べた概念を適用した実験を実施した。特に、土の間隙比が及ぼす影響について調べたところ、静水圧から評価される抵抗力は、間隙比に依存するが、動水圧から評価される値は、間隙比によらないことが判った。このことは浸透破壊現象が、土の状態によって、静水圧で破壊する場合と、動水圧で破壊する場合とがあり、それが現象を複雑にしていることを裏付ける一方、破壊に対する評価を整理できる可能性が示唆されたと考えている。 3)水路模型実験装置を作成し、この装置での実験を進めた。その結果、侵食現象が経時現象であり、土の表面で土粒子の交換が生じて粗粒化が生じることを確認した。このことは、上記評価規準での動水圧からの評価と密接に関連していると考えられ、この視点からの評価を目指す目処を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年3月の東日本大震災で、その調査・報告のために成果の報告が滞った。また、装置が転倒・破損する等の被害を生じた。 震災後1年を過ぎ、成果の報告に支障はなくなった。また、一部試験に影響のない部分の破損を除いて概ね復旧できた。そのため、予定よりもデータの精度が落ちる箇所が若干の超されていたものの、予定通り実験を進めることができ、当初の目的をほぼ達成できたものと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、ほぼ当初の仮説通りの結果を得ているので、当面はこれまで通り研究を推進する。但し、東日本大震災に伴い、成果の公開に支障が生じたとともに、実験装置の破損が未だ完全には修復されていないので、これらについて以下のようにする予定である。 (1)実験装置を、これまでの経験から得た改善点も考慮して新しい装置の開発・作成を行って研究を進める。 (2)データの精度を高めるために、新たな計測器を購入して交換する。 また、昨年8月の台風災害で、紀伊地方で多くの土砂ダムが形成されて社会問題化した。本申請課題では、その成果を土砂ダムのような天然堰止めダムの危険度評価等に活用することを目指していることから、得た結果の公開を早急に進めることにしている。
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Research Products
(2 results)