2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560508
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
舛谷 敬一 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30173743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬籠 純 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (70377597)
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Keywords | 擬河道網 / 流出解析 / 地形指標 / TOPMODEL |
Research Abstract |
現状の分布型流出解析モデルでは、空間解像度(最小領域単位)を変更したときに、同一の解析対象に対してもモデルパラメータを再調整しなければならないという欠点がある。この問題を解決し、スケール依存性のない分布型流出解析モデルを作成するために、以下のような研究を行った。 これまでに我々は、河道水追跡におけるスケール依存性を解決するため、擬河道網の粗視化法として最大集水河道追跡法を提案し、さらに粗視化擬河道網と高解像度擬河道網の類似性を判定する方法を開発した。本年度は、最大集水河道追跡法で整備した小規模流域から大規模流域までの様々な擬河道網において、擬河道網が粗視化の程度にあまり依存しないで高い類似性を持つことを確認し、これを学会発表した(AGU Fall Meeting 2011)。 また、流出発生過程(降雨が地表面を流れたり地中に浸透したりした後に河道に流入するまでの過程)については、モデルとして分布型TOPMODELを選び、そのスケール依存性を検討した。TOPMODELで重要な役割をもつ地形指標の累積分布がべき乗則に従うことから、粗視化倍率が大きくないときには飽和透水量係数を一定の規則に従って変化させることで分布型TOPMODELのスケール依存性が除去できることを導き、これを論文として発表した(GIS学会誌)。さらに、大規模流域で粗視化倍率が大きいときにも、地形指標累積分布のべき乗則を利用して、スケール依存性のない分布型TOPMODELの開発を進めている。現在、モデルの定式化の骨子が固まったところで、最終的な完成を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分布型流出解析モデルの2つの主要部分-河道水追跡と流出発生過程-のうち、河道水追跡に係るスケール依存性の問題は既に解決し、流出発生過程に関してはスケール依存性のないモデルの骨子が固まったところである。今後はこれを完成させ、プログラムの作成及びその実行を残すだけである。
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Strategy for Future Research Activity |
流出発生過程に関して、スケール依存性のない分布型TOPMODELの最終案を確定し,プログラムのコーディングを行う。特定の小規模流域について観測データ等の収集を行った後、流出解析を行ってモデルパラメータを同定する。小流域での計算結果を参考にして、大規模流域で粗視化倍率が大きいときのモデルの有用性を検討する。
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