2011 Fiscal Year Annual Research Report
小規模貯留施設制御による小河川の流出抑制と災害時水資源確保のための基礎的研究
Project/Area Number |
22560512
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大石 哲 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環・都市安全研究センター, 教授 (30252521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂田 憲吾 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (20020480)
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Keywords | 偏波レーダー / 予測不確実性 / アンサンブル短時間降雨予測 / 氾濫 / リスク解析 / 被害解析 / 降雨粒径分布 / 分布型流出モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は小規模貯留施設を用いて洪水時における都市の急激な流出を低減させる方法を開発する.同時に,震災などの災害時においては貯留した水を緊急生活用水として用いる場合の効率的運用方法を探ることである. 平成23年度には,1)水文シミュレータに小規模貯留施設の仮想的導入を行い,事前放流が貯留水量と流出に与える影響を調査.2)既往降雨系列と貯留施設の活用形態をシナリオとして与えて最適な事前放流の計算手法を開発.3)偏波レーダーによって得られる降雨量情報の誤差が事前放流タイミングの設定や貯留量推定に与える影響について考察.4)緊急生活用水の需要と供給を定式化するグラフ理論的方法を開発が目標であった. うち,1)と2)については,気象庁がだすアンサンブル週間予報を用いて事前放流にもとついた貯水池の最適放流決定方法を定式化して,小規模流域の貯水池下流の増水事例に適用し,事前放流をしない場合よりも格段に流出を低減でき,弾力的運用をした場合と比較しても流出低減をすることができる方法を開発したことで,十分な成果をあげることができた.3)については,偏波レーダーによって得られる降雨情報の誤差を,上空の降水粒子の散乱特性による影響,上空降水粒子が落下することによる影響,上空降水粒子が水平風により移流することによる影響に分けて考察し,種々の降雨量情報の誤差源による誤差量の推定を行った.しかし,誤差が事前放流タイミングに設定に与える影響については考察できなかった.4)については,緊急生活用水の需要量と供給量を,神戸市を事例に調査したが,それを定式化するグラフ理論的方法は開発できなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにレーダーから得られる降水量を元にした降雨予測を元にして分布型流出モデルを開発し,かつ氾濫モデルも介した氾濫予測モデルを開発し,さらに降雨予測の初期値誤差の伝搬を移流モデルの特異ベクトルを用いて考慮して,アンサンブル氾濫予測を行うことに成功している.さらにアンサンブル予報に基づいて,事前放流を行った上で,貯水池に洪水を貯留してそれを緊急時に使用する多目的な運用を実現している.レーダーによる降雨量推定誤差を特定して,その影響は平成24年度に考察できる段階まで来ている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はアンサンブルにより事前放流にもとづいた貯水池の最適放流決定方法をさらに突き詰め,特に事前放流に失敗した貯水池運用の事例を取り扱って,手法の確実性を高める.また,ハイドログラフの洪水低減部をより正確に表現することで,洪水終了後に活用すなわち貯留可能な水量を算出し,それが緊急時生活用水の需要量と比較することで確保できる緊急時生活揚水量を算出する.
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Research Products
(9 results)