2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイトリスク評価からみた適切な土壌地下水汚染修復に関する研究
Project/Area Number |
22560513
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
平田 健正 和歌山大学, 学内共同利用施設等, 理事 (30093454)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江種 伸之 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (00283961)
|
Keywords | 水工水理学 / 地盤工学 / 有害化学物質 / 水質汚濁・土壌汚染の防止・浄化 / リスク評価 |
Research Abstract |
揮発性有機化合物や重金属類による土壌や地下水の汚染が,全国各地で顕在化している.ただ,土壌は食料生産や地下水涵養など環境財としての価値に加えて,土地として私有財産としての価値を併せ持つことが,問題解決を複雑にしている.汚染が発見されると,環境基準達成を目標にゼロリスクを目指すのか,有害物質を管理しつつリスクを低減して土地利用を図るのか,熱く議論される.本研究は,こうした土壌地下水汚染問題を汚染サイトごとに健康リスクを評価し,浄化対策実施の判断や実施する場合の浄化目標の設定など,一連の汚染対策に合理的説明を付与するためのサイトリスク評価手法を提案する. 平成22年度は,有機ヒ素化合物による地下水汚染が生じた現場を対象として,地表付近で発見された汚染源から溶出した有機ヒ素化合物の土中での挙動を数値解析により検討した.今回の数値解析では,高濃度汚染現場周辺の埋土や自然地質など,地質の不均一性に由来する有機ヒ素化合物の動態について,現地観測と数値解析の両面から分析し,密度効果による鉛直降下浸透,汚染の拡散に与える揚水の影響などを明らかにした. また,地下水汚染を経由した健康被害を防止するための標準的措置に指定されている原位置封じ込め措置の適用可能性に関する基礎的な評価も行った.土壌汚染対策法法の主な対象と考えられる市街地では,原位置封じ込めの適用条件を満足する不透水層があまり存在しないことが明らかになってきた.そこで,より多くの現場に適用可能な原位置封じ込め措置として地下水揚水併用型を考え,数値解析を実施して汚染拡散防止効果を考察した.その結果,層厚の薄い難帯水層しか存在しない現場においても,地下水揚水を併用することで,原位置封じ込め措置の適用が可能になることを示すことができた.
|
Research Products
(3 results)