2011 Fiscal Year Annual Research Report
長周期動揺を生じないニューマティック係船装置の考案と流体力学的問題点の解明
Project/Area Number |
22560516
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 明徳 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30117288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山城 賢 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (70336014)
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Keywords | 長周期動揺 / 係留船舶 / ニューマティックケーソン / 長周期波 |
Research Abstract |
本研究は,大型船舶の船体形状は底面がフラットな形状であることと,長周期波による波強制力自体の大きさは極めて小さいことに着目し,船体をケーソン上に定置させるという,全く新しい方法rニューマティックケーソン係船装置」の実現に必要な流体力学的検討課題の解明を目的とするもので,当該年度は,2次元造波水槽内に,ニューマティックケーソン,浮遊船舶および係留岸壁の模型を設置し,海底からケーソンが上昇し,船体が浮遊状態からケーソン上に安定して定置されるまで,および,定置状態からケーソンが下降し,船体が浮遊状態に戻るまでの,遷移期間における船体・ケーソン・波浪の動的相互干渉について実験による検討をおこなった.その結果,次のようなことが明らかになった. 1.ケーソンが上昇を開始するとほぼ同時に浮遊船体も動揺を始め,一旦上昇と下降を生じるが,その後再度上昇を始め,ケーソンに追いつかれる形でケーソン上に定置される.このためケーソンと船体間には衝撃的な接触が生じることが無く,極めて円滑に船体の定置が実現することが確認された.これは,本システムの実現において非常に有用な結果である。 2.ケーソン下降時には,船体は浮力との釣合喫水を超えて定置状態のまま下降し,釣合喫水よりも大きな喫水でケーソンと下降しながら離脱する.このため静止時に必要とされる船底と海底との間隙に十分な余裕が無い場合には,下降時には船底と海底の接触が起こりえることがわかった.ただし,離脱は非常に円滑で,しかも緩やかに岸壁を離れる方向に移動するため,通常の係留策で岸壁に保持しえることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に実施した,ブシネスクモデルとポテンシャル接続法を併用する船体作用長周期波力の箕定法で,定置時船体に作用する波力を算定することができた.引続き当該年度に予定していた水槽実験を実施し,ケーソン上の定置にいたる過程と下降時の離脱の過程が,基本的に円滑に成しえることが実験的に確認できた.これらの結果,課題とする流体力学的問題点の解明が大きく進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
水槽実験を継続して実施し,波浪が存在する下でのケーソンと船体との動的干渉について詳細な検討をおこなう予定である.また,これらの実験的検討と平行して,今年度はケーソンと船体の動的干渉を解析する数値解析手法(境界要素法を用いる)の開発をおこなう予定で,この際、開発した数値解析手法の妥当性を実験結果を用いて検証する.
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