2012 Fiscal Year Annual Research Report
長周期動揺を生じないニューマティック係船装置の考案と流体力学的問題点の解明
Project/Area Number |
22560516
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 明徳 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30117288)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山城 賢 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (70336014)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 長周期動揺 / 係留船舶 / ニューマティックケーソン / 長周期波 |
Research Abstract |
本研究は,大型船舶の船体形状は底面がフラットな形状であることと,長周期波による波強制力自体の大きさは極めて小さいことに着目し,船体をケーソン上に定置させるという,全く新しい方法「ニューマティック係船装置」の実現に必要な流体力学的問題点の解明を目的とするもので,当該年度は,港湾内に波浪が存在する場合について,2次元造波水槽内にケーソン,浮遊船舶および係留岸壁の模型を設置し,海底からケーソンが上昇し,船体が浮遊状態からケーソン上に安定して定置されるまで,および,定置状態からケーソンが下降し,船体が浮遊状態に戻るまでの,遷移期間における船体・ケーソン・波浪の動的相互干渉について実験による検討をおこなった.その結果,次のようなことが明らかになった. (1)ケーソンが上昇を開始すると浮体も波周期での動揺をしながら平均位置が鉛直方向に移動を始め,ケーソンと浮体間の距離が大きい間は波の波高に応じて動揺するが、距離が小さくなると鉛直方向の動揺は波高によらず急激に小さくなり,ケーソンに着底する直前に浮体の鉛直速度はほぼケーソンの上昇速度に達し常に滑らかに着底する.このため、港湾内に波浪が存在する場合にもケーソンと船体間には衝撃的な接触が生じることが無く,極めて円滑に船体の定置が実現することが確認された.これは,本システムの実現において非常に有用な結果である.(2)しかし,有波浪時には水平波力が存在するため水平動揺は着底直後には停止せず,ケーソンとの摩擦力が水平波力を超えると考えられる時点で急激に停止する.このため水平方向の動揺に対する防舷材との応答特性の解明が必要となると考えられる.
|