2011 Fiscal Year Annual Research Report
波浪特性に基づいた大気-海洋間の二酸化炭素交換速度の評価法に関する研究
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22560518
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉原 裕司 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 准教授 (70243970)
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Keywords | 海面境界過程 / 気体交換 / 地球温暖化 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
本年度,海洋中の溶存CO_2濃度を評価するために液-液平衡式海洋CO_2センサーの設置を行った.このセンサーは海洋研究開発機構の研究グループが開発したもので,海水中のCO_2とセンサー内部溶液中のCO_2を透過膜を介して液-液平衡状態にし,内部溶液のpHを分光学的な方法で測定することで間接的に海水中のCO_2分圧を算定するものである.これに大気側観測機器を加えることにより,沖合海洋観測塔における観測体制を整えることができ,波浪データを付随したCO_2交換速度あ観測値を取得することが可能となった.これらの計測システムを用いて大気側と海洋側の同時観測を実施した.大気中のCO_2フラックスの測定においては,渦相関法と慣性散逸法による同時併用を実施し,両者の測定値が統計的に一致する時間帯のデータを抽出することによって,測定誤差の小さなフラックスのデータセットを作成することができた.また,超音波波高計による水位変動測定の結果から,有議波高,ピーク波周期等を算定し,波齢等の波浪特性量を評価した.観測で得られたCO_2フラックスおよび大気-海洋間CO_2分圧差△pCO_2からCO_2交換速度を算定した.CO_2交換速度は平均風速6~7m/s付近から急激に増大し,波齢が大きいほど交換速度が相対的に大きくなる挙動を示すことがわかった.また,既存の経験式と比較すると,本観測で得られた交換速度の値はかなり大きな値を示すことを確認した.さらに,砕波による乱流機構を取り込んだCO_2交換速度のハイブリッドモデルに関する研究を進め,波齢によって風速依存性が変化する交換速度モデルの検討を行った.このモデルは,CO_2交換速度の波浪依存性を説明できる有用なものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の観測結果と従来の結果との定量的な差異について分析を行う必要があるが,CO_2交換速度を評価するための観測手法を整備することができており,おおむね当初の計画通りに研究は進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
CO_2フラックスの評価法には未だ検討の余地があると思われるので,評価の際に使用されている仮定や経験定数を再考することによってフラックスの高精度化を試みたいと考えている.また,CO_2交換速度の評価モデルと観測値との適合性について検討を行い,波浪依存性を表現可能な新しい交換速度の評価法の構築を試みる予定である.
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Research Products
(8 results)