2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラフネス・サブレイアに着目した清水流および高濃度土砂流の抵抗則と乱流構造の解明
Project/Area Number |
22560519
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大本 照憲 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30150494)
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Keywords | 開水路乱流 / 完全粗面 / 三次元粗度 / Roughness Sublayer / 抵抗則 / 円柱粗度 / 球状粗度 / Form induced stress |
Research Abstract |
河川の治水安全度を評価する上で、その基本は流れの抵抗則の確立であり、粗度係数の予測精度の向上が重要となる。実河川における流れの抵抗特性は、多種多様な河床波、河床材料、河道形状、河道内の植生群落、更には河川構造物により複雑な相互作用系によって総合的に規定される。そのため、現状では経験的に得られた見かけの粗度係数によって判断され、既知の境界条件から数理的、演繹的に粗度係数を算定することは困難な状況にある。本研究では,二次元粗度と三次元粗度における完全粗面乱流を比較するために,同一の代表径を有する球状粗度および円柱粗度が規則的に路床に最密充填配列された完全粗面乱流において抵抗特性および粗度近傍の乱流構造について検討し,以下の知見を得た.1)同一の代表径を有する球状粗度および円柱粗度が路床に規則的に最密充填配列された完全粗面乱流においては,円柱粗度に較べて球状粗度の抵抗が大きい.2)無次元主流速分布では,対数則領域における同一の無次元高さにおいて球状粗度上の主流速は円柱粗度に較べて小さくなる.3)球状粗度および円柱粗度とも粗度近傍には安定した上昇流および下降流が形成され,その大きさは円柱粗度に較べて球状粗度の方が大きい4)粗度近傍におけるレイノルズ応力の直線分布からの欠損量は,球状粗度および円柱粗度とも粗度径の増大に伴って大きくなる.5)球状粗度および円柱粗度とも乱れの強さは鉛直方向にはRoughness Sublayerの外側で指数関数による乱れ強度式によって良好に再現されているのに対して,粗度近傍では過大評価され,粗度径の増大に伴ってその適合性は低くくなる.6)Nikoraによって提唱されたForm induced stressを球状粗度および円柱粗度上の完全粗面乱流に適用し,試算されたForm induced stressは円柱粗度に較べて球状粗度で大きくなる傾向が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既往研究における流れの抵抗則において、二次元粗度と三次元粗度の議論を正確に行っていない。本研究では粗度厚さ5mmおよび10mmの二種類で実施したが、可なりの精度が必要であり10mmにおいてその差が顕著に表れた。粗度厚さ5mmの実験に膨大な時間を費やしたために時間的遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、矩形粗度を用いた二次元粗度と三次元粗度の抵抗則および乱流構造の違いについて、良好な結果を得ている。データの解析を進めるとともに、次のステップとして粘土を用いた高濃度土砂流の抵抗則および乱流構造の検討のための準備を行っている。既に、滑面乱流については、成果を得ており、粗面乱流を含めた系統的知見に纏める予定である。
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