2011 Fiscal Year Annual Research Report
二次循環流の形成による吹送流の三次元構造に関する現地観測と数値モデルの開発
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22560523
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鵜崎 賢一 群馬大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30443906)
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Keywords | 吹送流 / 二次循環流 / 水平流速分布 / 水温分布 / 水平型ADCP / Workhorse |
Research Abstract |
当該年度は,(1)Webカメラによる水面のストリークのモニタリング,(2)水平型ADCP(H-ADCP)による水平流速分布の長期観測,(3)鉛直型ADCPを用いた曳航観測による水平流速ならびに鉛直流速に関する観測,(4)サーミスター・チェーンを用いた水温の鉛直分布の観測を行った.(1)によって,二次循環流の形成を示すストリークの発生を確認し,H-ADCPの設置方向を決定する.(2)によって,二次循環流の形成を示す高速域と低速域を伴う周期的な水平流速分布を捉え,長期観測によってその形成頻度を明らかにすることを目的とした.昨年も同様の観測を行い,周期的流速分布の計測とある程度の形成頻度の推定は行うことができたが,当該年度は観測データ中にノイズが多く,慎重な解析が必要であることから,現段階では結果はでていない.(3)に関しては,当該年度は高風速時の観測を行うことができ,比較的明瞭な周期的流速分布が水深分布として得られた.また,鉛直流速に関して上昇流と下降流が交互に出現する周期的な流速分布が水深分布として得られた.同じ位置の水平流速と鉛直流速とを水平方向にプロットすると右肩下がりとなり,水平流速の高速域では下降流,低速域では上昇流となる傾向が認められた.このことから,この空間的に周期的な水平流速分布は,周期的な下降流が示す二次循環流によるものであることが裏付けられた.(4)に関しては,昨年度同様,夏から秋にかけて上層と下層で4度近い温度差が生じる日周期成層が認められ,ほぼ毎夕方表層の水温が低下するとともに中下層の水温が上昇して水温の鉛直分布が一様化する現象が認められた.昨年度はこれらの現象を高風速と結び付けて解析したが,当該年度はさらに詳細な解析を行なった結果,無風時における一様化と高風速時における一様化とが認められることがわかった.後者は周期的水平流速分布と考え合わせると二次循環流の水塊混合による一様化と考えられ,前者は水表面の冷却に伴う熱対流による一様化と考えられる.今後,一様化と周期的流速分布の関連性をより詳細に明らかにする必要性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初期待した観測実績はほぼ挙げられた.Webカメラの設置場所が悪いため,鮮明なストリーク画像を撮れないこと,風向きと水平型ADCPの設置方向との整合性が悪く,北西風を捉えるように設置すべきであること,水温観測と鉛直型ADCPの曳航観測を同時に行い,水温の一様化が二次循環流によるものであることの裏付けを明確にすべきであることなどが,今後の課題として挙げられている.
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Strategy for Future Research Activity |
11で記述した現状の問題点を改善すべく,水平型ADCPを北西風を捉える方向に向けて設置して長期観測を行うこと,また,Workhorseを用いた曳航観測を同じ側線で行い,水平流速分布の周期性が二次循環流によるものであることを示す.また,水温観測と曳航観測を同時に行う,あるいは水平型ADCPによる観測と同時に行うことで,水温の一様化と周期的流速分布との関連性を明らかにする. また,これまでの流動場・水温場について得られた知見を生かし,さらに水質面での寄与を明らかにするため,DO計と濁度計を投入し,吹送流と底泥の挙動,溶存酸素濃度,SS濃度との関連性について明らかにする.
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