2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光分析と光触媒反応を利用した通水式紫外線照射装置の照射量測定ツールの開発
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22560541
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大瀧 雅寛 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (70272367)
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Keywords | 紫外線照射 / 化学線量計 / 蛍光強度変化 / 高透過率溶液 / フミン質 / 光触媒 / 蛍光増白剤 |
Research Abstract |
本研究テーマは,近年,我が国の浄水処理において導入が開始され,注目を集めている紫外線照射処理に関する研究である.実処理に導入されるにあたり,重要な点は「UV装置が十分な照射量を持つものであるかどうかを確かめる」ことである.現在,照射量測定には,UV感受性が既知の微生物を投入する生物線量計が一般的であるが,使用する生物の不安定性や測定方法が猥雑でかつ一日以上時間がかかるといった欠点がある.そこで,より安定的に,より迅速に行うために化学物質の変化によって照射量を測定する化学線量計を対象水の透過率と同等の条件によって行う手法の開発を試みた.そこで一派的な対象水にも含まれると考えられるフミン質の紫外線照射による変化量を光触媒を投入することによって促進し,かつその変化量を高感度計測が可能な蛍光強度の変化によって測定することを提案した.この方法では透過率70%以上での適用が可能であり,かつ高照射領域(100mJ/cm^2以上)に適していることが分かった.別の方法として蛍光増白剤であるビススチルベン系直接染料型蛍光増白剤(FBA-1)およびトリアジニルスチルベン系直接染料型蛍光増白剤(FBA-2)を用い,その蛍光強度の変化量によってUV線量を測定する方法を試みた.結果として,この方法では透過率95%以上の溶液による適用が可能であり,浄水処理を対象とした装置の評価に使えることがわかった.またこの蛍光増白剤においては低照射領域(50mJ/cm^2以下)においても変化量を測定できることから,消毒に用いる範囲の照射量域での適用に向いていることがわかった.これらの成果は,UV装置の導入において,設定照射量の実測のために非常に重要な手法を提案するものであると考えている.
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