2011 Fiscal Year Annual Research Report
生活排水に由来する多環芳香族炭化水素類がコンポスト利用を通して水環境に及ぼす影響
Project/Area Number |
22560545
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾崎 則篤 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (50294541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田一 智規 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10379901)
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Keywords | PAHs / 多環芳香族炭化水素類 / 環境動態 / 下水汚泥 / コンポスト / リスク評価 / 生分解性 |
Research Abstract |
本研究の目的は微量有害化学物質のひとつであるPAHsを対象として,コンポスト製造プロセスにおけるPAHsの消長を調査により明らかにし,また反応プロセスでの生物分解性を分子生物学的手法により明らかにすることである.そしてそれらの結果に基づいてPAHsの環境動態におけるコンポスト経由の負荷,特に下流域の水環境に対する流出負荷に対する寄与を明らかにする.本年度は広島県内の代表的なコンポストプラントに協力のもと,通年調査を継続した.調査結果に基づき6つの下水汚泥および副資材としての食品残渣(コンポジットとして"汚泥"と称する),そして製品コンポストの基本性状およびPAHs含有量,有機溶媒抽出物の発光細菌(Vibrio fischeri)に対する毒性,およびAhR反応性(ダイオキシン様毒性)を算定した.汚泥及びコンポストの含水率は77%および34%,有機物含有量は強熱減量で汚泥及びコンポストが88%と74%であった.またPAHs含有量は,汚泥及びコンポストはそれぞれ10lng g^<-1>および95ng g^<-1>であった.発光細菌に対する毒性(1/EC50)は,汚泥及びコンポストはそれぞれ36000L g^<-1>および602L g^<-1>であった.AhR値は,汚泥及びコンポストはそれぞれ14.2gTEQ g^<-1>および22.8gTEQ g^<-1>であった. 調査によって推測されたコンポスティングプロセス前後でのPAHsおよび毒性の低減率を検証することを目的として室内実験を実施した.実験における主要な制御因子は温度及び含水率とした.比較として同時期に同じロットで現地の汚泥を継続採取した.三回の実験を行い,含水率,有機物含有量,PAHs含有量においては室内実験は現地での汚泥の低減と類似の減少率を得た.以上よりこれらの値は現地での状況を適切に模擬していると考えられた.しかし発光細菌に対する毒性は現地と大きく異なった.このことから現地の模擬の適切さの評価指標は毒性も含めて考えるべきであることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査,実験は概ね当初の予定通り進捗している.しかし実験を実施した結果として新たな課題が見いだされた.これらは当初想定されていない課題であり,これらの解決も検討していきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
調査,実験を引き続き実施する.今後の重点課題は: ・毒性評価としてumu試験を実施し,変異原性の観点から評価していく. ・コンポスティングプロセス(発酵過程)の適切な模擬性についてより詳細に検討していく必要がある.コンポスティングプロセスの評価指標についてのより幅広な提言を行う基礎データを構築したい.
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Research Products
(2 results)