シングル配筋する住宅用RC基礎梁の応力伝達機構に基づく配筋設計の合理化

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 22560558
• Research Institution: University of Fukui
• Principal Investigator: 小林 克巳 福井大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40150297)
• Keywords: 建築構造・材料 / 住宅用基礎 / シングル配筋 / 配筋設計

Research Abstract

シングル配筋される梁幅の小さい部材と、通常の梁幅を有し閉鎖型せん断補強筋が配置される部材の基本的な力学性状の違いと応力伝達メカニズムを明らかにするために、せん断補強量を一定として、中間筋のみがせん断補強筋ウェッブ部分の拘束を受ける場合、コーナー筋のみがせん断補強筋ウェッブ部分の拘束を受ける場合、中間筋はせん断補強筋ウェッブ部分の拘束を受けないが、せん断補強筋フランジ部分で抑えられておりその量が異なる場合について、ひずみ測定に重点をおいた実験を実施した。データ解析は次年度も継続するが、トラスメカニズムを形成する主筋が1本、すなわちシングル配筋の場合には、ウェッブコンクリートの圧縮力によって主筋が直接被りコンクリートに押し付けられ、楔効果によって被りコンクリートに割裂引張応力が生じていそうである。シングル配筋部材の曲げ変形限界が、主筋量によらず上面割裂ひび割れの発生によって決定されるという既往の実験結果とも矛盾せず、上面付着割裂破壊メカニズムを表す力学モデルを構築できると思われる。それに基づいて、上面付着割裂破壊が起こり難い配筋方法の提案が可能となる。
人通口を設けるために断面を切り欠いた基礎梁について、ひずみ測定に重点をおいた実験結果を解析した。部材長方向で変断面となり、主筋位置が断面せい方向にずれる場合には、単なるあき重ね継手の問題ではなく、主筋端部の定着、主筋間コンクリートを介したトラス作用、曲げモーメントを負担しさらに断面切り欠き部のひび割れ幅の拡大を防ぐための斜め補強筋の作用等が複合するが、応力伝達メカニズムをほぼ把握することができた。次年度も継続してデータ解析を行うが、力学モデルを構築できると思われる。それに基づいて、終局時に断面を切り欠き部で破壊が起こらず、変形能力が確保された良好な曲げ破壊モードとなるようにするための配筋方法の提案が可能となる。