2010 Fiscal Year Annual Research Report
終局限界状態に至るまでの全体崩壊メカニズムの保証を目指した柱梁耐力比
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22560559
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
井戸田 秀樹 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10203192)
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Keywords | 素材特性 / 確率論的評価 / 鋼構造部材 / 耐力 / 変形性能 / 荷重変形関係 |
Research Abstract |
終局限界状態の評価に必要な部材の荷重変形関係を大変形領域まで含めて確率論的に評価するため,従来は降伏応力度に限られていた素材特性の不確定量を降伏比や歪硬化開始点の歪などにも拡張した有限要素法数値解析を行った.また,繰り返し時の特性については局部座屈の進展や材料特性の変化など,有限要素法解析では把握できない領域もあるため,数値解析の妥当性を検証するための実験的も実施した. 結果として,下記の成果を得た. 1.鋼材の素材特性の変動を考慮した鋼構造曲げ材の確率論的荷重変形関係の提示 鋼材の持つ力学的特性のうち,降伏応力度,引張強度,歪硬化開始時の歪度の3つの特性を確率量としたときの荷重変形関係の平均値と各変形量に対応した変動係数を提示した.部材の荷重変形関係が確率論的に与えられることによって,素材特性の変動が鉄骨構造物の性能に与える影響が変形性能も含めてより明確になる. 2.鋼材の素材特性の変動と残留応力度などの初期不整を考慮した部材耐力と変形性能の提示 鋼構造部材の性能に影響を与える要因として,素材特性だけでなく残留応力度や断面積の初期不整量の変動も考慮し,これらの特性が部材耐力と変形能力の平均値と変動係数に与える影響を提示した.この情報により,部材に与える安全の余裕を不可避な初期不整量との関係の中で定量的に把握することが可能となった. 3.繰返し荷重を受ける鋼構造部材の履歴特性の把握 有限要素法だけで把握することが難しい繰返し挙動時の鋼構造部材の特性を評価するため,H形鋼の梁を対象とした繰返し載荷実験を実施した.有限要素法解析と実験結果との対応の中で繰返し挙動も再現できる解析モデルが設定でき,今後の地震時挙動の検討において有益な解析ツールが得られた.
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