Research Abstract |
(1)液状化地盤において繰返し鉛直荷重を受ける鋼管単杭の杭頭局部座屈及び全体曲げ座屈の連成座屈挙動の把握 これまでに,地盤が液状化した場合,水平抵抗が急激に低下することから,鉛直荷重のみでも杭基礎の崩壊を生じる可能性を示した。その際,全体曲げ座屈が卓越する比較的スレンダーな杭を対象としてきた。本研究では,液状化層が薄い場合に生じうる杭頭での局部座屈と全体曲げ座屈との連成について検討した。鋼管杭には上屋構造の鉄骨柱に比べて大きな径厚比が用いられることが多く,比較的早期に杭頭で局部座屈が発生する一方,液状化地盤では地盤による水平抵抗の喪失により,全体曲げ座屈を生じる可能性がある。さらに,上屋応答による変動軸力により鋼管杭が繰返し荷重を受ける場合,単調荷重と異なり局所的に応力集中する可能性があることから,杭細長比,杭径厚比,地盤反力係数,繰返し荷重回数・振幅等のパラメータに対して両者の連成座屈メカニズムを明らかにした。 (2)動的周期鉛直荷重を受ける鋼管単杭の動座屈発散現象の解明 既往の研究及び(1)では,静的荷重を受ける場合について検討した。一方,動的鉛直荷重を受ける圧縮部材では,図1に示す不安定領域で,静的荷重に比べてより低い荷重でも動座屈を生じることもありうる。このとき,発散現象により急激な水平変形が増幅し,地震後,杭に大きな残留変形を生じる可能性がある。本研究では,鋼管杭が動的荷重を受ける場合の動座屈挙動を明らかにした。地震時に上屋応答による動的軸力変動や上下動等の影響により,杭には動的鉛直荷重が作用することから,有限要素による弾塑性大変形解析により,杭の細長比や地盤反力係数,荷重周期等をパラメータとして動座屈が生じない安定荷重を明らかにした。杭の幾何学的非線形性,杭と地盤の材料非線形性を考慮したモデルを用いた。
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