2010 Fiscal Year Annual Research Report
小径間伐材を用いた耐震補強用面格子壁の力学性能とその経年変化の解明
Project/Area Number |
22560567
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
高田 豊文 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (90242932)
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Keywords | 建築工法 / 間伐材 / 面格子壁 / 耐震補強 / 水平加力試験 / 復元力特性 / 弾塑性復元力 |
Research Abstract |
本研究では,防災安全上および環現保全上の課題の解決を日指し,間伐材を用いた面格子壁の力学性能とその経年変化(劣化性状)を,成木材を用いた面格子壁との比較実験により明らかにすることを目的としている.面格子壁の試験体寸法は幅910mm×高さ2730mmとし,使用材料2種類(成木材あるいは間伐材),格子材寸法2種類(太径あるいは細径)の合計4種類用意する.平成22年度は24体の試験体を製作した.その内,平成22年度は,細径成木材を用いた試験体2体を製作直後に,太径成木材を用いた試験体2体を製作後6か月後に水平加力試験を行った.実験は,一般的な面内せん断試験方法に従って実施し,各試験体の強度(耐力)・剛性を計測した.今年度および過去の様々な面格子壁の水平加力実験データから,製作後6か月程度以下の経年数ならば,使用材種が間伐材・成木材に関わらず,面格子壁の力学性能に変化はないことが明らかとなった.また,これらの実験データを基に,荷重-変形関係の包絡線と完全弾塑性復元力モデルを比較することによって,完全弾塑性モデルの弾性勾配部分が実験結果の包絡線とほぼ1/60radで交わっていること,完全弾塑性モデルの終局耐力は包絡線の1/20rad時荷重値とほぼ等しいことなど,格子材種や格子間隔,製作後経年数(6か月程度以下)に関わらない各面格子壁に共通する力学的特徴を明らかにした.さらに,この復元力特性の特徴を踏まえて,小変形(1/200rad)時の荷重値を利用したトリリニア型の弾塑性復元力特性モデルを提案し,このモデルが実験結果と非常に良い対応を示していることを確認した.
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