Research Abstract |
本研究では,建築物の内圧の制御方法について,外装材などの部材に作用する風圧力の空気力学的性質や部材の力学的性質を利用して,パッシブに内圧を制御し,部材に作用する風圧力を低減し,建築物全体に発生する被害を最小限に留める手法を明らかにする。さらに,建築物に作用する強風時の風圧力を建物全体でモニタし,内圧を制御するアクティブな手法を提案することを目的としている。平成23年度に実施したパッシブな内圧制御方法を比較したケーススタディに基づき,本年度はアクティブ型の室内圧制御方式を考慮できるように,風荷重が作用している状況で,開口条件が時々刻々変化することを考慮できる計算モデルを構築し,計算プログラムを整備した。昨年度の計算は壁面の開口条件の違い蚤の計算であったのに対し,本年度実施は,外装材が耐力を超える風荷重を受けた場合に,損傷を受け,内圧が変動する状況について,数値計算が行われ,耐風性に関する影響が調べられた。開口条件の違いにもよるが,外装材が過大な風圧力で損傷を受けて,内圧に瞬間的な変化が生じた場合は,同程度の開口が継続的に存在する場合に比べてやや大きな内圧変動を示し,結果として,屋根面に作用する風圧力が大きくなるという,感覚的にも理解されやすい計算結果が得られた。一方,開口条件が異なる複数の場合の内圧を考慮した風洞実験を実施し,1次データ処理を行い,実験結果を吟味した。実験気流は移動する竜巻状旋回流を想定した。内圧の実験を可能にするための相似則を満たすように,建築物模型直下には付加容積を設けた実験モデルを用いた。実験結果については,詳細な検討は平成24年度に実施する予定であるが,卓越した開口に比べ,開口面積が小さい場合の内圧への影響は,圧力変動を抑制し,外部の静圧変化についても遅延させる効果がみられた。
|